KRYSTAL-1試験:非小細胞肺癌に対するKRAS阻害剤

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KRAS G12C変異のNSCLCに対する奏効率が高い薬剤として昨年から知られている薬剤です。ソトラシブに続いて2剤目の承認となるでしょう。特に東アジア以外ではundruggableなエリアでしたので、注目度が高い研究です。STK11遺伝子変異があるNSCLCに対してもアダグラシブの効果が期待されます。

アムジェンから2か月前に発表されているCodeBreak100試験の続報では、ソトラシブのORRは40.7%、DCRは83.7%、DORは12.3か月と報告されています。PFSは6.3か月、OSは12.5か月、2年OSは32.5%でした。

ソトラシブとアダグラシブの耐性についてはすでに別のNEJMの論文で報告されています(N Engl J Med. 2021 Jun 24;384(25):2382-2393.)。

免疫チェックポイント阻害剤との併用の臨床試験が今後さらに進むものと思われます。

一次治療として妥当な選択肢であっても、ソトラシブもアダグラシブも「化学療法後に増悪したKRAS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対して用いられることがネックになりそうです。



  • 概要
■KRYSTAL-1試験は、固形癌の患者に対して、アダグラシブを評価した臨床試験である。KRAS G12Cと不可逆的かつ選択的に結合する阻害薬である。

■登録コホートにおいて、プラチナ製剤ベースの化学療法および抗PD-L1抗体または抗PD-1抗体療法による治療歴があるKRAS G12C変異陽性NSCLCにおけるアダグラシブ(600mg1日2回経口投与)の評価が行われた。主要評価項目は、盲検化された中央審査による客観的奏効である。副次的評価項目は、DOR、PFS、OS、安全性であった。

■2020年1月から2020年12月までに116人が登録され、治療を受けた(追跡期間中央値12.9か月)。年齢中央値は64歳(IQR25-89)、女性が56%、ECOG PS 0が16%、PS 1が84%、98%が上記治療歴があり、2レジメン以上の治療歴が57%を占めていた。

■ベースライン時に測定可能な病変を有していた112人の患者のうち、48人(42.9%)に客観的奏効を確認した(95%信頼区間33.5-52.6%)。病勢コントロール率は80%(95%信頼区間70.8-86.5)だった。DOR中央値は8.5か月(95%信頼区間6.2~13.8)、PFS中央値は6.5か月(95%信頼区間4.7~8.4)だった。2022年1月15日時点(追跡期間中央値15.6か月)で、OS中央値は12.6か月(95%信頼区間9.2~19.2)だった。同時発生変異やPD-L1の発現に関係なく、奏効は全サブグループで観察された。

■安定したCNS転移を有する患者33人のうち、頭蓋内客観的奏効率は33.3%(95%信頼区間18.0~51.8)だった。治療関連の有害事象は97.4%の患者に発生し、グレード1または2が52.6%、グレード3以上が44.8%(グレード5の事象2件を含む)、そのうち6.9%で薬剤が中断された。減量は52%、投薬中断は61%でみられた。






by otowelt | 2022-06-06 00:10 | 肺癌・その他腫瘍

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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