胸膜を開くのはケリー鉗子がいいのか?
2022年 07月 02日
外科医ではなく鉗子自体を使い慣れていないので、内科医がデカイ鉗子を使うとなかなか胸膜が破れずに挿入に時間がかかる気がしています。当院のセットには色々鉗子が入っているのですが、個人的には小さな鉗子を使うことが多いです。胸膜に到達した後に鉗子を開けば、モスキートでもそんなに困らない気がしています。
とまあ内科医が言っても何の説得力もないので、ダメだよ何言ってんのというご意見があれば、こっそりメールでご鞭撻ください。(汗)
紹介する研究では、「臨床医は胸膜減圧を行う際にケリー鉗子ではなく、それより小さな鉗子を使用することにより、肺損傷のリスクを低減することができる」と記載されています。
- 概要
■症候性外傷性気胸・血胸に対する治療では、減圧のために胸膜の穿刺を行う。本研究では、ケリー鉗子とfine artery forceps(モスキート鉗子等)を比較し、模擬胸膜の穿刺に必要な力の差を明らかにすることを目的とした。
■経験豊富な一人の術者が、手袋の下にセンサーを装着し、マネキンの模擬胸膜の穿刺を行った。デバイスの先端から胸膜に加わる力は、デバイスを保持するために必要な力を全力から差し引いて推定した。
■ケリー鉗子を7回、fine artery forcepsを4回使用し、11回の模擬手技を行った。選択した鉗子を保持するのに必要な力を差し引いた後、ケリー鉗子を用いた胸膜穿刺力の中央値は52.91ニュートン(IQR 36.68-63.56)、fine artery forcepsを用いた場合は10.70ニュートン(IQR 7.64-26.56)だった(P = 0.006)。
■ケリー鉗子を用いた模擬胸膜の穿刺はfine artery forcepsと比較して有意に大きな力が必要であり、胸膜下にある肺損傷のリスクを高める可能性がある。
by otowelt
| 2022-07-02 02:12
| 呼吸器その他