MACの亜種ごとの薬剤感受性
2022年 06月 08日
MACの亜種について調べた中国の研究です。M. marseillenseは一瞬アレ?といつも思うのですが、massilienseではなくて同じマルセイユ由来の別の菌です。ほぼネタみたいな記事を過去に書いています。
■参考記事:M. massilienseとM. marseillense(URL:https://pulmonary.exblog.jp/29728358/)
M. massilienseとM. marseillense、英語圏での読み方は、それぞれ「マシリエンス」、「マァセイエンス」です。timonenseもマルセイユです。マルセイユは菌名のメッカなんですかね。
Li Y, et al. Identification and drug susceptibility testing of the subspecies of Mycobacterium avium complex clinical isolates in mainland China. J Glob Antimicrob Resist. 2022 Jun 2;S2213-7165(22)00132-1.
■Mycobacterium avium complex(MAC)は一連の亜種からなり世界的に分布しているが、亜種間で薬剤感受性に差があるとされている。この研究では、中国本土におけるMACの構成と亜種間の薬剤感受性の違いを評価した。
■287株のMAC臨床株を対象とした。亜種を正確に同定するためにマルチターゲットシークエンスを行い、Sensititre™ SLOMYCOプレートを用いて亜種間のMICを評価した。
■MACの構成は、M. intracellulare(N=169),M. avium(N=52),M. chimaera(N=22),M. marseillense(N=25),M. colombiense(N=14),M. yongonense(N=4),M. vulneris(N=3),M. timonense(N=2)だった。
■クラリスロマイシン、アミカシン、リファブチンのMIC50およびMIC90は他の薬剤に比べ低かった。耐性率は、クラリスロマイシンが6.3%、アミカシンが10.5%、リネゾリドが51.9%、モキシフロキサシンが46.3%であった。初回治療群のクラリスロマイシンおよびモキシフロキサシンの耐性率は再治療群に比べ有意に低かった(4.09% vs. 12.94%;30.41% vs. 75.29%;p<0.05 )。クラリスロマイシンおよびモキシフロキサシンは、上位5つの亜種で薬剤感受性に差が認められたが(p<0.05)、抗結核薬治療歴により2群に分けると統計的に有意な差はなくなった。
by otowelt
| 2022-06-08 00:03
| 抗酸菌感染症