関節リウマチ関連間質性肺疾患と特発性肺線維症における急性増悪の比較

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昔一緒に働いていた、大塚淳司先生が筆頭著者の論文です。背景の状態が悪いと、予後不良因子になることは想定通りではありますが、IPFとの比較というところに独自性がありますね。

RA-ILDの急性増悪リスク因子にはいくつも報告があって、たとえば6分間歩行距離、喫煙歴、増悪前12か月以内の%FVC、発症時のP/F比、気腫肺合併、UIPパターンなどがあります(Respir Res. 2021 Oct 11;22(1):264.、Chest. 2022 Jan 12;S0012-3692(22)00038-1.、Respir Res. 2022 Mar 11;23(1):57.)。




  • 概要
■IPFの臨床経過で起こる急性増悪は、RA-ILDでも起こることが複数の研究で示されている。しかし、RA-ILD患者の主要な死因である急性増悪の発生率、臨床的特徴、リスク因子、RA-ILDとIPFの臨床的側面の違いについては、まだ十分に理解されていない。

■RA-ILD患者149例とIPF患者305例のデータを後ろ向きに検討した。急性増悪の頻度を調べ、そのリスク因子を明らかにするために、急性増悪のある患者・ない患者の臨床データを比較した。また、RA-ILDとIPFの間で急性増悪後の予後と死因を比較した。

■RA-ILD患者27例(18.1%)、IPF患者84例(27.5%)が急性増悪を発症した。RA-ILDとIPFの急性増悪後の生存期間中央値はそれぞれ277日と60日だった(p = 0.038)。多変量解析では、低アルブミン血症[オッズ比0.090(95%信頼区間0.011-0.733),p=0.012],%DLCO[オッズ比0.810(95%信頼区間0.814-0.964),p<0.01] は急性増悪の独立危険因子とされた。急性増悪は、RA-ILDおよびIPF死因として最も頻度が高いものだった。






by otowelt | 2022-07-08 00:43 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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