吸入製剤は、合剤にしたほうが吸入アドヒアランスと継続性が良好


喘息診療やCOPD診療で最も重要なのは、吸入デバイスの数であると思っています。最もデバイス互換性が高いのはエリプタ製剤で、1日1回1吸入という吸入アドヒアランス維持がしやすい製剤であることから、個人的には非常に重宝しています。
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エリプタ製剤は、ICSから入ってもLAMAから入っても、喘息・COPDともにトリプルにステップアップして到達できるメリットがあります。

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ブリーズヘラー製剤は、ICS/LABAから入ってもLAMAに入ってもトリプル吸入製剤に理論上到達可能ですが、エナジアが喘息にしか適応がないため、ウルティブロ→エナジアというステップアップが容認されないという点は足枷となります。
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. ブリーズヘラー製剤




  • 概要
■喘息ガイドラインでは、ICS/LABAでコントロール不良の喘息患者に対してトリプル吸入療法を推奨している。従来は、トリプル吸入療法は複数の吸入剤を併用するしかなかった。喘息の維持療法としてフルチカゾンフランカルボン酸/ウメクリジニウム/ビランテロール(FF/UMEC/VI)単剤吸入が承認されているが、吸入アドヒアランスや継続性に関するリアルワールドでの情報は限られている。

■アメリカにおいて、成人喘息においてFF/UMEC/VI投与群と複数の吸入製剤を用いた併用療法(Multiple-inhaler triple therapy:MITT)群を吸入アドヒアランスと継続性をの観点から比較した。

■この後ろ向きコホート研究は、IQVIA PharMetrics Plusデータを用いて、2017年9月18日から2019年9月30日の間に1日1回投与のFF/UMEC/VI 100/62.5/25 mcgまたはMITTを開始した喘息患者を評価したものである。IPWと多変量回帰により、FF/UMEC/VIとMITTのコホート間の特性の違いを調整した。吸入アドヒアランスは、実際に処方された日数を初回処方から追跡終了までの観察期間全日数で割ったもの(PDC)、PDC≧0.8を達成した患者の割合、
PDC≧0.5を達成した患者の割合で評価した。45日以上の空白期間があった場合、非継続性と識別された。

■1396人のFF/UMEC/VI患者および5115人のMITT患者を対象とした試験。開始3か月後、FF/UMEC/VIユーザーはMITTユーザーに対して平均PDCが有意に高く(0.68 vs 0.59; P<0.001)、アドヒアランスが31%高かった(PDC ≥0.8; 40.6 vs 31.3; 調整リスク比1.31 [95%信頼区間1.13-1.54]; P<0.001)。 開始後6か月および12か月でも同様のパターンが観察された。さらに、FF/UMEC/VI使用者は、MITT使用者に比べて12か月後に継続できている可能性が49%高かった(25.9% vs 15.1%、調整後ハザード比 1.49[95%信頼区間1.39-1.60];P<0.001)。







by otowelt | 2022-07-14 00:13 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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