便検体を用いた肺結核の診断
2022年 07月 23日
肺結核における便検査の有用性については色々見当が重ねられていますが、塗抹は結構難しい。というか、やはり便なので・・・。
メタアナリシスでは感度50%程度が担保されており、喀痰や胃液が採取できない小児では有用な選択肢とされています(Open Forum Infect Dis. 2020 Dec 28;8(8):ofaa627)。
小児における便Xpertは胃液と同等の感度という報告がいくつかあります(Int J Infect Dis. 2022 Jan;114:236-243.、PLoS One. 2022 May 5;17(5):e0267661.)。
いずれにしても肺結核で便の核酸増幅検査をおこなうと、かなり陽性になるようなので(J Family Med Prim Care . 2022 Jan;11(1):97-101.)、有用という報告は今後も増えてくるかもしれません。
通常のXpert MTB/RIFよりもXpert MTB/RIF Ultraのほうが検査精度が良いとされていますが、あくまで感度の観点であり、特異度に関してはUltraのほうが低めという現状です(Cochrane Database Syst Rev . 2021 Feb 22;2:CD009593.)。Ultraの感度が高めとされる理由は、これまでの分類に加えてトレースコールを拾ってきているからではないかと思われます(Public Health Action. 2022 Mar 21; 12(1): 28–33.)。
- 概要
■結核菌は消化管内で生存することが可能である。そのため、喀痰を飲み込んだ場合、便から菌が検出されることがある。本研究では、成人の肺結核におけるさまざまな便の診断法(塗抹検査、PCR、培養)の精度を評価し、喀痰培養と比較検討した。
■EmbaseおよびPubMedを検索し、臨床的に肺結核と推定される患者または微生物学的に証明された患者の便検査に関するデータを有する研究を同定した。
■13件の関連研究が含まれた。3つの結核診断方法のいずれかが陽性である場合のプール感度は79.1%(95%信頼区間61.5-92.5)であった。便塗抹検査、PCR、培養の感度はそれぞれ41.1%(95%信頼区間24.9-58.2)、89.7%(95%信頼区間81.4-95.9)、38.0%(95%信頼区間26.2-50.6)であった。対象となった研究の異質性は高かった。
by otowelt
| 2022-07-23 00:55
| 抗酸菌感染症