pre-XDRTBに対するベダキリン・デラマニド・リネゾリド・クロファジミン


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HR耐性のMDRTBに、少なくとも1種類のフルオロキノロンと1種類の注射薬(アミカシン、カプレオマイシン、カナマイシン)に対して耐性があるものをXDRTBと呼びますが、フルオロキノロンか注射薬のいずれかが耐性のものをpre-XDRTBと呼びます。

国にもよりますが、MDRTBのうち8分の1がpre-XDRTBで、さらにその8分の1がXDRTBとされています。

さて、FDAに承認されているXDRTBあるいはpre-XDRTB用に用いられるBedaquline-Pretomanid-Linezolid(BPaL)は、2020年のNix-TB研究でその効果が示されています(N Engl J Med 2020; 382:893-902)。投与4週間後のヘモグロビンが10%以上低下することがリネゾリドによる重度の貧血を予測する上で感度・特異度が高く、この基準をトリガーに1200mgから600mgに減量することで、重度の貧血を60%防ぐことが可能とされています(Clin Infect Dis. 2022 May 30;74(10):1736-1747.)。ザイボックスを使っていると、何となく分かってくると思いますが・・・。

BPaLは1日5錠で済むため、短期間で駆け抜ければ少ない内服で治療完遂が可能です。




Padmapriyadarsini C, et al. Bedaquiline, Delamanid, Linezolid and Clofazimine for Treatment of Pre-extensively Drug-Resistant Tuberculosis. Clin Infect Dis. 2022 Jun 29;ciac528.

  • 概要
■多剤耐性結核(MDR-TB)の治療成功率は、世界的に見ても低いままである。新薬の登場により、毒性が低く、治療成績が向上するレジメンを開発する余地が生まれた。われわれは、フルオロキノロン系抗菌薬に耐性を示すMDR-TB FQ+または注射剤に耐性を示すMDR-TB SLI+に対するベダキリンとデラマニドの経口・短期レジメンの有効性を明らかにした。

■肺MDR-TB FQ+/MDR-TB SLI+の成人患者を対象に、ベダキリン、デラマニド、リネゾリド、クロファジミンを24~36週間併用した場合の有効性と安全性を前向きに検討した。主要評価項目は、治療終了時の反応性で、4週間隔で採取した培養が連続2回陰性であることと定義された。また、治療期間中の細菌学的あるいは臨床的な治療失敗は、不良転帰と定義した。

■登録165名のうち158名がMDR-TB FQ+だった。治療終了時,ベースラインの薬剤感受性と培養陰性のため12例を除外した結果、153例中139例(91%)が良好な転帰だった。死亡4例、治療変更7例、細菌学的失敗2例、休薬1例だった。治療中、85名(52%)に骨髄抑制が、69名(42%)に末梢神経障害がみられ、QTc 500msec以上の延長があった患者はいなかった。48 週間の追跡調査では、131名の患者において、有害事象が消失し、治療効果が持続した。






by otowelt | 2022-07-06 00:18 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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