「よくまとまっています」は、何となく書籍の書評に使われる常套文句ですよね。個人的には好きではない表現なのですが、「よくまとまっています」がしっくりくる本当の医学書に久々に出合いました。
発売日:2022年6月30日
単行本 : 138ページ
価格 : 3,300円 (税別)
出版社 : シーニュ
著者: 佐野 邦明 (著), 笠原 敬 (監修)
知識があり教育的な執筆者であることは読んだらすぐに分かり、やりようによってはもっと厚く書ける本だと思いましたが、これは「敢えて薄く」作っています(まえがきにも書かれていますが)。
シーニュという医学出版社は情熱の塊みたいなところがあって、現場での実用性を重要視しています。私はそういうところに惚れています。書籍の後ろに抗菌薬MAPがついているのですが、いやー恐ろしいです。抗菌薬に対する情熱が恐ろしい!
若手医師の頃につまずきがちなのが抗菌スペクトルやβラクタマーゼあたりです。難しい用語が出てくると、途端に分からなくなりますよね。この本はそういうのが図表になってまとまっているので、「AmpCってどういう性質だったっけ?」と困ったときは、ササっと見返しましょう。
βラクタムアレルギーのときの対応についても、側鎖構造まで詳しく記載されており、この本を入手した満足感は大きいです。
というわけで、この本の総評は「恐ろしいほどよくまとまっています」になります。
迷わず買いの、脱帽名著。持ってへんのはあんただけ!