慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対するセレキシパグ
2022年 07月 29日
CTEPHに対するウプトラビの臨床試験です。すでに2021年6月に新規治療薬として承認されています。
昨年プレスリリースされている内容ですが、改めて拝読させていただきました。筆頭著者は国立循環器病研究センターの大郷剛先生です。PVRの改善はあるものの、臨床的に効くと言えるほどの改善は実感されないという結論です。
PAHに対しては、GRIPHON試験で有効性が確認されています(N Engl J Med. 2015 Dec 24;373(26):2522-33.)。
Oto T, et al. Selexipag for the treatment of chronic thromboembolic pulmonary hypertension. Eur Respir J . 2022 Jul 7;60(1):2101694.
- 概要
■手術不能の慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対する治療選択肢は、依然として限られている。肺動脈性肺高血圧症で承認されている経口選択プロスタサイクリン受容体作動薬であるセレキシパグは、CTEPHの治療オプションとなりうる。
■多施設共同ランダム化二重盲検プラセボ対照試験において、手術不能のCTEPH、または肺動脈内膜切除術やバルーン肺動脈形成術後に肺高血圧症が持続・再発した日本人患者78人をプラセボまたはセレキシパグ投与群にランダムに割り付けた。プライマリエンドポイントは、ベースラインから20週目までの肺血管抵抗(PVR)の変化とした。セカンダリーエンドポイントは、6分間歩行距離、Borgスケール、WHO機能分類、EQ-5D-5L、NT-ProBNPといった他パラメータの変化とした。
■結果、PVRの変化は、セレキシパグ群で-98.2±111.3 dyn·s·cm-5、プラセボ群で-4.6±163.6 dyn·s·cm-5(平均差 -93.5 dyn·s·cm-5; 95%信頼区間-156.8 to -30.3; p=0.006 )であった。心拍数(p<0.001)、Borgスケール(p=0.036)の変化もプラセボに比べ有意に改善された。6MWDとWHO機能分類に有意な改善はみられなかった。セレキシパグ投与群でよく見られた有害事象は、プロスタサイクリンアナログの投与後に一般的に観察されるものと同等だった。
■資金的支援:日本新薬株式会社、ヤンセンファーマ株式会社
by otowelt
| 2022-07-29 00:48
| 呼吸器その他