LTBIに対する6週間HP治療の有効性
2022年 07月 17日
国内のLTBI治療は、個人的には3HRの方向でよいのではと思っていますが、まだ見解の統一がみられていない気もしています。国際的にはすでにRPTベースになっています。
先日とある会合でも紹介させていただいたLTBIの治療、6週間のHPの話です。これまでは、●か月の治療を●HPのように書くことが多かったのですが、最近単位が週になってきました。薬剤の前に投与する月数、後ろに投与頻度を下付けで記載することが多いです。
それにしても、2H2P2と書かれても、リファペンチンを使えない日本ではしっくりきませんよね。
- 概要
■LTBIの治療は結核対策に不可欠な要素である。リスクの高い人々のLTBI治療を拡大することは、結核撲滅戦略にとって重要な要素である。現地の結核の流行状況や世界的に利用可能な資源に応じて、適切なLTBI検査・治療ツールを開発することが急務である。
■中国で2015年から50~70歳のLTBIの農村住民を対象に実施された非盲検ランダム化比較試験に基づき、5年間の追跡調査でリファペンチン+イソニアジドの週2回6週間レジメンの予防効果を評価した。
■ランダム化後、適格者はA群(3HP群1284人)、B群(2H2P2群1299人)、C群(未治療対照群1155人)の3群に分類された。開始後、実際には,両レジメンとも実施中にあらかじめ終了していた(3HPは8週間、2H2P2は6週間に修正)。そこで、変更後のレジメンを評価したところ、2年後の追跡調査において、8週HP週1回レジメンで37%、6週HP週2回レジメンで69%の予防率が確認された。そのため、本研究では2年間の追跡調査の結果を踏まえ、5年間の追跡調査において6週HP週2回レジメンの長期予防率を検討することを目的とした。8週HP週1回レジメンは、2年間の追跡調査で観察された効果が限定的であったため、本研究では中止した。
■5年間予防効果の解析には、治療者1298名と未治療対照者1151名が含まれた。per-protocol解析では、結核発症率は未治療対照群では100人年あたり0.49(95%信頼区間0.30-0.67)、治療群では100人年当たり0.19(95%信頼区間0.07-0.32)、予防率(protection rate)は61.22%であった。サブグループ解析では、ベースラインのIFN-γ値が最高四分位値(≧3.25 IU/mL)の参加者における解析では、予防率は76.82%であった。多重ロジスティック回帰分析により、ベースラインのBMI<18.5の参加者と肺の線維性病変のある参加者は、活動性疾患を発症するハザードが高く、調整ハザード比はそれぞれ3.64(95%信頼区間1.20-11.00)と5.99(95%信頼区間2.20-16.27)であることが示された。ベースラインのIFN-γ値が高い人は、結核の発生リスクが高いことを示した(調整ハザード比2.27, 95%信頼区間1.13-4.58)。
by otowelt
| 2022-07-17 00:46
| 抗酸菌感染症