緑膿菌を有する成人気管支拡張症に対するトブラマイシン吸入


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「どうせ嚢胞性線維症しか対象じゃないんでしょ」のトブラマイシンがついに!

緑膿菌におぼれる気管支拡張症の患者さんは日本にもたくさんいます。呼吸器内科医としてどうにかしてあげたいと思いながらも、在宅ネブライザーできるのはベネトリンやムコフィリンという状況です。

その後の耐性菌はどうか、など課題はまだまだ多いかもしれませんが。





■気管支拡張症に対するトブラマイシンネブライザーの有効性を証明した大規模試験はほとんどない。われわれは、緑膿菌感染を有する成人の気管支拡張症患者を対象に、トブラマイシン吸入液(TIS)のネブライザーの有効性と安全性を検討した。

■本試験は、16週間におよぶ第III相多施設共同ランダム化二重盲検プラセボ対照試験である。2018年10月から2021年7月にかけて、気管支拡張症の成人適格者を募集した。通常ケアに基づき、患者はTIS(300mg/5mLを1日2回)または通常生理食塩水(5mLを1日2回)を振動メッシュ式ネブライザーで吸入した。治療は、28日間のオンとオフを交互に繰り返す2サイクル行われた。主要評価項目は、29日目の緑膿菌密度およびQOL-BRSスコアのベースラインからの変化とした。

■修正ITT集団は、トブラマイシン群167例、プラセボ群172例だった。TISはプラセボと比較して、緑膿菌密度を有意に減少させ(調整済み平均差。1.74 Log10 CFUs/g、95%信頼区間1.12~2.35、P<0.001)、QOL-BRSスコアの改善がみられた(調整平均差7.91、95%信頼区間5.72~10.11、P<0.001)。

■同様の結果は85日目にも観察された。TISは、29日目、57日目、85日目において、24時間喀痰量と喀痰膿性スコアの有意な減少をもたらした。

■29日目に緑膿菌の培養が陰性化した患者は、プラセボ群よりトブラマイシン群のほうが多かった(29.3% vs 10.6%)。

■有害事象および重篤な有害事象の発生率は、両群間で同等であった。






by otowelt | 2022-08-06 00:21 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優