COVID-19:大阪府の現状(8月1日)



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大阪府の新規陽性者数は2万人ベースを超えてきました。現在の感染者数は20万人を超えています。1つの市に匹敵するほどの人数であり、これまでとはレベチと言わざるを得ません。報道にある通り、基本的にはほとんどが軽症者です。

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宿泊施設療養者数は過去最多水準にあります。現在はかなり入所基準をしぼっているので、希望すれば入所できるわけではありません。それでも全体の半数が埋まっている状況で、入所速度にスタッフの対応が追い付いていない現状があります。

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私が勤務する軽症中等症病床は、第6波の水準に到達する勢いでベッドが埋まってきました。7月1日から8月1日までの1か月の新型コロナ入院患者は88人で、1日あたり2.75人を受け入れていることになります。

全体の半数が80歳以上で、ADLが不良の高齢者が多く、基礎疾患に対して新型コロナが嫌がらせしているような構図が多いです。肺炎もよく見かけますが、オミクロン株以前のウイルス性肺炎のすりガラス陰影より浸潤影主体の陰影が多いようです。細菌性や誤嚥性の合併を見ているのかどうか、よくわかりません。酸素飽和度が低下した中等症IIも多いですが、当院の胸部CTでは肺炎がひどくないケースもあり、このテーマでよく議論されるのが「全身性ステロイドをどの範囲まで広げるか」です。正解はないのですが、ずるずると長引かせないことが大事かなと思います。

比較的若い年齢層では、特に女性に喉頭炎・嗄声の症例が目立ちます。ただ、この1週間は高齢者主体の入院に移り変わってきています。高齢者の喉頭炎や嗄声はあまり多くありません。理由はよく分からないです。

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府の基準による重症患者数もじわじわ増えていますが、逼迫にいたるほどの増加はありません。これは、BA.5自体が挿管にいたるケースが少ないことと、高齢者のDNARが多いためと推察されます。

救急搬送困難搬送事例も目立って増えてきました。それなりの医療逼迫になってきている、というのが実感です。

どの病院も職員感染例が多いです。多くの施設が4回目のワクチンは8月第2週以降になるでしょう。抗体価が上がるにしても、そのときには流行曲線のピークを過ぎているかもしれません。職員が感染すると、人手が削がれてしまい、業務が回らなくなるという崖っぷちの状況の病院もあると思います。



by otowelt | 2022-08-01 19:35 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優