中国におけるMycobacterium kansasiiの検討
2022年 08月 07日
チェコ・スロバキア・ポーランドはM. kansasii大国と言えるほどNTMのうちM. kansasiiが多い国です。hsp65PRA解析に基づく遺伝子型は7つあり、I型:ヒトから分離される遺伝子型、II型:環境およびヒトから分離される遺伝子型、III~VII型:環境からのみ分離される遺伝子型とされています。森本先生や当院の吉田氏の分子生物学的検討が勉強になりますので一読されるとよいでしょう(Kekkaku. 2015; 90(4): 453-6.、Kekkaku. 2011; 86(7): 681-684, 2011)。日本ではほぼ9割がI型という認識になります。
先ほど重工業と書きましたが、都市化が進んだ地域での発生率が高いことは明白で、上海では今から10年前、NTMの半数がM. kansasiiという時期が報告されています(PLoS One. 2014 Oct 16;9(10):e109736)。
■Mycobacterium kansasiiは、現在までに、7つの遺伝子型(I-VII)と、2つの中間型(I/II)、1つの非定型型(IIb)が確認されている。中国のこの報告では、臨床的特徴、薬剤感受性、遺伝子型を調べるために60株のM. kansasiiを収集した。
■中国から分離された60株はrpoBとhsp65のシークエンスからすべてI型と判断された。異なる遺伝子型に属するM. kansasii分離株のペアワイズANIは85%以上であった。分離株の78.3%(47/60株)は1999年以降に分離されたものだった。全菌がリファブチン感受性だった。リファンピシン、アミカシン、モキシフロキサシン、リネゾリドの感受性はそれぞれ80.0%,90.0%,88.3%,91.7%だった。シプロフロキサシン(73.3%)とエタンブトール(76.7%)には高い耐性率が認められた。
■M. kansasii H37Rvと比較すると,すべてのM. kansasiiで12種類のembCA変異が観察された。これら60株のM. kansasiiは、rpoB、inhA、katG、rrl、rrs、rpsL、gyrA、gyrBがすべて同一の塩基配列を有していた。
by otowelt
| 2022-08-07 00:49
| 抗酸菌感染症