COPD増悪の細菌学的疫学と尿中肺炎球菌抗原の有用性
2022年 08月 17日
世界的に普及している尿中肺炎球菌抗原はBinax NOWですが、感染を疑っている前提で陽性になれば基本的に肺炎球菌感染症を有していると考えてよく、特異度は98%と報告されています(Clin Infect Dis. 2003;36(3):286.)。小児では偽陽性が生じるため(Pediatrics. 2003;112(6 Pt 1):1279.、Pediatr Infect Dis J. 2004;23(4):365.)、解釈に注意が必要です。
Yoo J, et al. Bacterial etiology and pneumococcal urinary antigen in moderate exacerbation of chronic obstructive pulmonary disease. J Thorac Dis. 2022 Jul;14(7):2532-2543.
■この研究は、韓国における中等症のCOPD増悪(AECOPD)患者における定型・非定型病原微生物の分布に関する全国データを確立し、肺炎球菌を検出する尿中抗原検査(UAT)の臨床的有用性を評価することを目的とした。
■中等症AECOPDの外来患者を対象に、経口ザボフロキサシンとモキシフロキサシンの比較を目的としたランダム化比較試験の事後解析である。韓国全土の診療所からAECOPD患者342名が登録され、ベースライン時に血液、喀痰、尿が採取された。血清学的検査、喀痰培養・PCR、UATを実施し,病原微生物の同定をおこなった。UAT陽性群と陰性群の患者特性および臨床効果を比較した。
■最多の分離病原微生物はHaemophilus influenzae(30.3%)、次いでStreptococcus pneumoniae(24.7%)、Pseudomonas aeruginosa(14.0%) であり、菌の分布に大きな地域差はみられなかった。Streptococcus pneumoniaeのUATが陽性であった症例では、レスピラトリーキノロンを投与しても臨床効果がみられなかった(0.0%)のに対し、UATが陰性の症例では11.8%が臨床効果を示した(P=0.037)。
by otowelt
| 2022-08-17 00:56
| 感染症全般