線維性間質性肺疾患における慢性肺アスペルギルス症


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間質性肺炎患者539例のうち、肺アスペルギルス症に罹患していたのは15例(2.78%)だったという報告があります(Intern Med. 2014;53(12):1299-306.)。このうち、11例(73.3%)が酸素療法を要していたことから、ILDにCPAを合併すると結構大変というイメージを持っています。




■慢性肺アスペルギルス症(CPA)患者において、間質性肺疾患(ILD)が予後不良の予測因子であることは、過去にいくつかの報告で示されている。しかし、ILDを伴うCPA(CPA-ILD)においては、患者背景や予後因子について明確になっていない点がある。臨床に有用な情報を得るため、これらの点について評価した。

■抗アスペルギルス抗体の血清検査を受けた459例の患者を後ろ向きに調査した。CPA-ILD患者を32例抽出した。患者背景因子としては、高齢(平均74.9歳)、男性(75.0%)、喫煙歴(71.9%)がよくみられた。

■ILDと診断されてからの生存期間中央値は76.0か月、CPA-ILDと診断されてからの生存期間中央値は25.5か月であった。各ILDパターンやIPFの有無による生存期間の有意差は観察されなかった。CRP高値は、Cox回帰分析により死亡の有意な予測因子であった。






by otowelt | 2022-08-15 00:40 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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