InPedILD試験:小児に対するニンテダニブ
2022年 09月 02日
進捗が良好だった、小児に対するニンテダニブの臨床試験です。長期的な安全性がもっとも重要なポイントですが、下痢や肝障害が少なければ、いつかこれも治療選択肢になるのかもしれませんね。
小児ILDは、成長とともにFVCが増加してくることが一般的なので、これを差し引いて考えなければならない点は評価を難しくします。成長に関連性が低いサロゲートマーカーがあればよいのですが。
Deterding R, et al. Nintedanib in children and adolescents with fibrosing interstitial lung diseases. Eur Respir J. 2022 Aug 30;2201512.
- 概要
■小児間質性肺疾患は、乳幼児、小児、青年に発症するまれな疾患スペクトラムを構成している。ニンテダニブは、成人の肺線維症に対する治療薬として承認されている。
■当該InPedILD試験の主目的は、線維性ILDを有する小児および青年におけるニンテダニブの用量-曝露の関連および安全性を同定することである。胸部HRCTで線維性ILDがあり、臨床的に重要な疾患を有する6歳~17歳の患者を2:1の割合で、24週間ニンテダニブまたはプラセボをランダム化割り付けして投与した後、ニンテダニブの非盲検試験を実施した。
■投与は、体重に基づくスケーリングによって調整された。主要評価項目は、2週目と26週目の定常状態における血漿中濃度時間AUCと、24週目に治療上問題となる有害事象が発生した患者の割合とした。
■26名の患者にニンテダニブが、13名の患者にプラセボが投与された。ニンテダニブの幾何平均濃度時間AUCは6-11歳の患者で175±85.1μg・h/L、12-17歳の患者で160±82.7μg・h/Lであった。
■二重盲検期において、各投与群の84.6%に有害事象が報告された。有害事象によりニンテダニブを中止した患者は2名であった。下痢はニンテダニブ群38.5%、プラセボ群15.4%で報告された。24週目の%FVCの調整済み平均変化は、ニンテダニブ群0.3±1.3、プラセボ群-0.9±1.8だった。
図. %FVCの平均変化(文献より引用)
by otowelt
| 2022-09-02 00:03
| びまん性肺疾患