RESTORE試験事後解析:COPD増悪・QOLに対するエルドステイン

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RESTORE研究については2017年にすでに報告されています(Eur Respir J. 2017 Oct 12;50(4):1700711.)。

PEACE試験以降、吸入薬に去痰薬を「かませる」というのはCOPD診療ではよく適用されている手法です。有名な去痰薬ほど論文が多いので、このあたりのバイアスをどう解釈するか、など課題は多いです。逆に、エビデンスがほとんどないのに去痰薬として君臨しつづけている薬剤もあり、結構闇です。



Calverley R, et al. The Effect of Maintenance Treatment with Erdosteine on Exacerbation Treatment and Health Status in Patients with COPD: A Post-Hoc Analysis of the RESTORE Dataset. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis . 2022 Aug 22;17:1909-1920.

  • 概要
■COPD増悪、健康関連QOLに対するエルドステインの効果を検証することを目的とされた、RESTORE試験の事後解析である。

■安定期COPDで、GOLD2(n=254)、GOLD4(n=191)に対して通常の維持療法+エルドステイン300mg 1日2回またはプラセボが12ヶ月間投与された。途中の使用抗菌薬、全身性ステロイドの使用、SGRQスコアが記録された。患者および医師の主観的なCOPD重症度スコア(0~4スケール)は、ベースライン、6か月、12か月で評価された。

■GOLD2の患者において、エルドステイン群では126例中43例が増悪した(34.1%:中等度から重度の増悪7例)のに対し、プラセボ投与群では128例中62例が増悪した(48.4%:中等度から重度の増悪14例)。中等度から重度の増悪を起こした患者のうち、エルドステイン群は、全身性ステロイド治療の平均期間が短く(11.4日 vs 13.3日、P = 0.043)、経口ステロイドを併用せずに抗菌薬治療を適用した患者は少なかった(71.4% vs プラセボ85.8%、P < 0.001 )。エルドステイン投与により増悪した GOLD 2の患者では、増悪の程度にかかわらず、SGRQ総スコアおよび主観的重症度スコアはプラセボ群と比較してベースラインから有意に改善した。GOLD 3患者においては、いずれの項目においても治療群間の有意差は観察されなかった。






by otowelt | 2022-10-04 00:53 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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