TRAIL1試験:RA-ILDに対するピルフェニドン

 INBUILD試験(N Engl J Med. 2019 Oct 31;381(18):1718-1727.)ではRA-ILDは全体の13.4%含まれています。事後解析において、RA-ILDにおけるニンテダニブについての結果が既に示されています(論文化未確認:DOI:10.1136/annrheumdis-2021-eular.969)。RA-ILDにおける%FVC低下率は、ニンテダニブ群-82.6(41.3)mL/年、プラセボ群-199.3(36.2)mL/年(差116.7mL/年[95%信頼区間7.4-226.1]、p=0.037)で、INBUILD試験全体の結果と一致性があったとされています。
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. INBUILD試験におけるRA-ILD患者の事後解析

 さて、ニンテダニブではなく今回はピルフェニドンの報告です。ただ、COVID-19のパンデミックにより、進捗はゴニョニョといった感じです。早期中止にならなければプライマリエンドポイントを達成できただろう、という考察に少し偏りすぎかなという気がします。



  • 概要
■RAにおけるILDの生涯発症リスクは7.7%とされている。われわれは、RA-ILD患者に対するピルフェニドンの安全性、忍容性、有効性を評価した。

■TRAIL1試験は、4か国(イギリス、アメリカ、オーストラリア、カナダ)のILDを専門とする34の施設で行われたランダム化二重盲検プラセボ対照第2相試験である。18~85歳の成人は、2010年EULAR/ACRのRA基準を満たし、胸部HRCTでILDがみられた患者を登録した。除外基準は、喫煙、ILDの他の既知の原因の臨床歴、臨床的に重要なCOPDまたは喘息の併存などとした。患者は、1日2403mgの経口ピルフェニドン投与群(ピルフェニドン群)またはプラセボ投与群(プラセボ群)に1:1の割合でランダムに割り付けられた。

■主要評価項目は、ITT集団で評価した52週間の治療期間中における、ベースラインからの%FVCの10%以上の低下または死亡という複合エンドポイントの発生率とした。副次評価項目は、ITT集団において、52週間における%FVCの絶対量変化、%FVCが10%以上低下した患者の割合、OMERACT(Outcome Measures in Rheumatoid Arthritis Clinical Trials)による進行などとした。

■2017年5月15日から2020年3月31日までに、231人の患者を対象として評価を行い、そのうち123人の患者をランダムに割り付けた(ピルフェニドン群63人[51%]、プラセボ群60人[49%])。本試験は、COVID-19の流行により、早期(2020年3月31日)に中止された。複合主要評価項目を満たした患者の割合の両群間の差は有意ではなかった(ピルフェニドン群63例中7例[11%] vs プラセボ群60例中9例[15%]、オッズ比0.67[95%信頼区間0.22~2.03];p=0.48 )。プラセボ群と比較して、ピルフェニドン群では肺機能低下速度が遅く、FVC絶対値の推定年間変化量(-66mL vs -146mL、p=0.0082)が少なく、%FVC(-1.02 vs -3.21、p=0.0028)減少も少なかった。%FVCの10%以上の減少(ピルフェニドン群5人[8%] vs プラセボ群7人[12%]、オッズ比0.52 [95%信頼区間0.14-1.90]; p=0-32)およびOMERACTが定義した進行の頻度(ピルフェニドン群16 [25%] vs プラセボ群19 [32%]; オッズ比0.60 [0.30-1.54]; p=0.35)について群間差は観察されなかった。治療上問題となる重篤な有害事象の発生率にも群間差はなく、治療に関連した死亡例はなかった。






by otowelt | 2022-09-13 00:55 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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