胸腔感染症に対する胸腔ドレーンは下を狙う?上を狙う?
2022年 09月 26日
膿胸の治療のときは、基本的に膿が貯留している腔を狙って胸腔ドレーンを入れるわけですが、のちのち外科的治療を要することも多いので、この数年は外科に早期にコンサルトすることが増えており、国際的にもその風潮は強いと思います。
複雑性胸膜炎のときに、横隔膜の上を狙うかどうかという臨床的な疑問を解決する研究だと思います。
- 概要
■胸腔感染症に対する胸腔ドレーン挿入は、良く用いられている手法である。重力の影響を考慮すると、ドレーンを胸腔底に設置しようとするが、この方法の有効性は十分に明らかにされていない。そこで、胸腔ドレーンの先端位置が胸腔感染症患者の治療失敗に影響を与えるかどうかを検討した。
■胸腔ドレーン挿入を行った胸膜炎患者を、ドレーン先端が横隔膜の高さである第10胸椎より下に位置する群(下位置群)と第9胸椎より上に位置する群(上位置群)に分けて、後ろ向き観察調査をおこなった。ドレーン先端の位置が治療失敗に影響するかどうかを比較した。Stabilized weight補正によるIPTW解析で、群間のベースライン特性のバランスをとった。治療失敗は、病院での死亡・外科への紹介・胸腔ドレーンの追加挿入の複合アウトカムとした。
■87例中、下位置群41例、上位置群46例だった。両群間の複合転帰に有意差は観察されなかった(46.3% vs 54.3%,P = 0.596)。また、sIPTWで調整した後の両群間の複合アウトカムにも有意差はなかった(52.3% vs. 68.8%、P = 0.286)。
by otowelt
| 2022-09-26 03:47
| 感染症全般