肝硬変における肝肺症候群の頻度は?
2022年 10月 26日
肝肺症候群はpre-capillaryレベルで肺血管が拡張するシャント疾患です。この疾患を疑うポイントは、「臥位になるとSpO2が回復する呼吸不全」です。生食とエコーさえあれば簡単に評価できるので、特に肝硬変の患者さんの息切れや酸素飽和度の低下をみた場合、鑑別に挙げる必要があります。
コントラスト心エコー:
少しだけ空気を入れた生食入りシリンジを攪拌し(上下に振る)、マイクロバブルを生混じたものを末梢静脈から投与しながら行う心エコー検査。静脈内注射後、10心拍程度で左心房~左心室にマイクロバブルが見えればシャントの存在が疑われる。
肝移植というのが実臨床で選択可能な治療法ではないことが多く、現実的には症状緩和が主体になるのですが・・・。
それにしても3人に1人がエコーで肝肺症候群と診断できるので、臨床で実感するよりも多いのかもしれません。それを偽陽性と呼ぶかどうかはともかく。将来的には呼吸不全に陥るリスク因子になるのかもしれませんね。
- 概要
■門脈肺高血圧症(POPH)および肝肺症候群(HPS)は慢性肝疾患の重篤な肺血管合併症であり、罹患率と死亡率に強く関連している。これらの合併症の有病率は、肝移植を検討している患者では比較的高いが、安定した慢性肝疾患の患者ではほとんど知られていない。
■我々は、3次施設の肝臓外来における前向き登録研究で,肺高血圧症(PH)およびHPSの有病率を評価した。2011年から2016年にかけて,肝硬変または非肝硬変性門脈圧亢進症の連続患者を前向きに登録した。
■我々は、3次施設の肝臓外来における前向き登録研究で,肺高血圧症(PH)およびHPSの有病率を評価した。2011年から2016年にかけて,肝硬変または非肝硬変性門脈圧亢進症の連続患者を前向きに登録した。
■重度の慢性心疾患、肺疾患、CTEPHのような他の原因のPHは除外した。HPSは、コントラスト心エコー検査と血液ガス分析を用いて診断された。患者は、呼吸困難重症度、心エコー、運動負荷試験、運動負荷心エコーなどを用いてPHスクリーニングを受けた。アルゴリズムがPHリスクの上昇を示した場合、患者は右心および肝静脈カテーテルによる侵襲的検査を受けた。安静時mPAP≧21mmHg、PVR>3WU、PAWP<15mmHgをPOPH、安静時mPAP=21~24mmHgを軽度PH、mPAP>30mmHg、ピーク時のTPR>3WUを運動時PHと定義した。
■25人の患者が登録された(男性75%、肝硬変96%、年齢中央値57歳)。67例(33%)がHPSの基準を満たしたが、重症(PaO2:50-60mmHg)または超重症(PaO2<50mmHg)のHPSは2例(1.0%)だけだった。運動負荷心電図検査を受けた18/77人(23%)では、収縮期肺動脈圧が50mmHgを超えていた。3例 (1.5%) の患者がPOPHと診断され、4例 (2.9%) の患者が軽度PH、2例の患者が運動時PHと診断された。
■25人の患者が登録された(男性75%、肝硬変96%、年齢中央値57歳)。67例(33%)がHPSの基準を満たしたが、重症(PaO2:50-60mmHg)または超重症(PaO2<50mmHg)のHPSは2例(1.0%)だけだった。運動負荷心電図検査を受けた18/77人(23%)では、収縮期肺動脈圧が50mmHgを超えていた。3例 (1.5%) の患者がPOPHと診断され、4例 (2.9%) の患者が軽度PH、2例の患者が運動時PHと診断された。
by otowelt
| 2022-10-26 00:08
| 呼吸器その他