臨床はオッカムの剃刀である。まさにその通りです。今の研修医には外来実習が必須になっています。指導医がどのように考え診療しているかという、臨床推論の1つの完成型を前著で提示した、名著の続編。発売日:2022年9月30日
単行本 : 294ページ
価格 : 4,500円 (税別)
出版社 : メディカルサイエンスインターナショナル
著者: 鈴木慎吾先生
以前のようにcommonな主訴ではなく、ちょっと苦手とする人が多い主訴を取り上げて解説してくれています。発熱、しびれ、関節痛など、型にはめて診療できるのかと思いきや、なかなかどうして。私はOPQRSTを実臨床でよく使っているのですが、鈴木先生ほど洞察が深くない気がしております・・・。O:Onset(発症様式) P:Provocation/Palliative factor(増悪/寛解因子) Q:Quality(性状) R:Related symptoms(関連症状) S:Severity/Site (強さ・重症度/部位) T:Time course(経過・日内変動)
それにしても、臨床力に長けた人って、なんでみんなジョジョが好きなんですかね(笑)。前著もそうですが、「お堅い本かな」と思って読むと、結構高頻度に出てくる笑いとおふざけが小気味良いです。途中でスラムダンクの安西先生の説明まで出てきますが、そこまで注釈は要りませんよ!
全身倦怠感は、なかなか診断がつきにくい代表格の徴候ですが、マニアックなXYZ症候群やABC病といったものではなく、「あ、それか!」と拍子抜けするほど単純な診断だったりするわけで、いやcommon things are commonの原則は忘れてはならない、と兜の緒を締める所存です。
鈴木先生の本で好きなところは、診断への道筋を語る部分だけでなく、「文献との向き合い方について」です。「守破離の破が大事だよね」というくだり、100へえで共感です。
オッカムの剃刀とはいいますが、そぎ落とすところがプロ級だと、剃刀の切れ味を高めることが可能です。3枚刃でも5枚刃でも可能ッ!みなさんの剃刀、切れ味はどうですか?