メタアナリシス:肺NTM症における手術治療


日本の研究もたくさん組み入れられていますね。



Kim J, et al. Outcomes of adjunctive surgery in patients with nontuberculous mycobacterial pulmonary disease: a systematic review and meta-analysis. Chest. 2022 Oct 5;S0012-3692(22)03907-1.

  • 概要
■肺NTM症は、世界的に増加傾向にある。抗菌薬治療の成功率が低い中、手術の併用が注目されている。しかし、報告された成績にはばらつきがある。肺NTM症に対して補助的に手術を行った場合の治療成績と合併症について、システマティックレビューおよびメタアナリシスをおこなった。主要アウトカムは、手術後の喀痰培養陰性化、再発、合併症、院内死亡率とした。

■スクリーニングされた2739件の研究のうち15件、1071人の患者が評価された。8研究は日本で実施されたものである。NTMのうち、Mycobacterium avium complex (MAC)は78.6%にのぼった。1071人のうち、975人(91.0%)は手術前に抗菌薬治療を受けていた。マクロライド耐性はデータが得られた437人中37人(8.5%)だった。319人(29.8%)が拡大肺切除、87人(8.1%)が肺全摘を受けた。拡大手術は、少なくとも2部位以上切除、最低1葉以上切除と定義した。

■術後の喀痰培養陰性化の加重割合は93%(95%信頼区間87%-97%、I2=86.0%)、再発は9%(95%信頼区間6%-14%、I2=71.2%)、追跡期間中央値は34か月であった。術後合併症を経験した患者の割合は17%(95%信頼区間13%~23%)、院内死亡率は0%(95%信頼区間0%~2%)であった。

メタアナリシス:肺NTM症における手術治療_e0156318_16341810.png
(※少なくとも2部位以上切除、最低1葉以上切除)
. 肺NTM症に対する外科手術(文献をもとに作成)

■登録者の30%以上に拡大手術を実施した研究において、30%以下の研究と比べて合併症の発生率は増加しなかった。MACの比率が80%を超える群とそうでない群においてもアウトカムは不変だった。






by otowelt | 2022-10-10 00:12 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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