ネットワークメタアナリシス:死前喘鳴に対する抗コリン薬
2022年 11月 06日
ブチルスコポラミンについてはSILENCE試験(JAMA. 2021; 326: 1268-1276.)で有効性が示されています。157例の解析で、死前喘鳴の発現率は、スコポラミン群が13%、プラセボ群が27%でした(差14%、95%CI 2%-27%、P=0.02)。
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Taburee W, et al. Effects of Anticholinergics on Death Rattle: A Systematic Review and Network Meta-Analysis. J Palliat Med . 2022 Oct 3. doi: 10.1089/jpm.2022.0386.
- 概要
■抗コリン薬は、緩和ケアで死にゆく患者の死前喘鳴の治療に使用されてきた。しかし、抗コリン薬の効果についてはまだ議論の余地がある。
■本研究は、死前喘鳴に対する抗コリン薬の治療・予防効果を系統的に検討し、定量的にまとめることを目的とした。電子データベース(PubMed,Embase,CINAHL)にて、2021年10月まで文献のシステマティックレビューを実施した。死期が近い患者の喘鳴低減スコアに対する、抗コリン剤またはプラセボを比較した研究を対象とし、死前喘鳴治療については、ネットワークメタ解析を行った。
■9件の研究が含まれ、1103人の患者が登録された。6件の研究はランダム化比較試験で、3件はコホート研究であった。7件の研究は死前喘鳴治療、2件の研究は死前喘鳴予防で実施された。
■死前喘鳴治療に関しては、各抗コリン剤(スコポラミン、ブチルスコポラミン、アトロピン、グリコピロニウム)とプラセボ、およびすべての抗コリン剤間で統計的な有意差は認められなかった。しかし、累積順位曲線下面積(SUCRA)は、スコポラミンが71.3%と最も高いことが示された。
■死前喘鳴予防については、スコポラミンの死前喘鳴発生の相対リスクは、無治療と比較して0.23(95%信頼区間0.04-1.18、I2= 84.5%)であった。
by otowelt
| 2022-11-06 00:02
| 呼吸器その他