特発性肺線維症急性増悪に対する全身性ステロイドは早期減量がよい


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実は本当にエビデンスの少ない領域で、さじ加減でさえも本当に正しいのかどうか、分からないまま長年経過してきました。

少なくとも高用量全身性ステロイドを漫然と続ける意義はないと思います。それはどの呼吸器疾患にも言えることですが。


Anan K, et al. Early corticosteroid dose tapering in patients with acute exacerbation of idiopathic pulmonary fibrosis. Respiratory Research. 2022;23:291.

  • 概要
■特発性肺線維症(AE-IPF)の急性増悪に対しては、ステロイドを漸減していく治療法が最も一般的に行われているが、漸減法に関するコンセンサスは得られていない。本研究では、AE-IPF患者において、ステロイドの早期漸減と院内死亡率との関連について検討することを目的とした。

■後ろ向きコホート研究では、日本の8つの三次医療施設のコホートデータと、日本の185の病院のコホートからルーチンに収集された行政データを分析した。AE-IPF患者は、入院後2週間以内にステロイドの維持量を減量したかどうかによって、早期漸減群と非早期漸減群に分類された。副腎皮質ステロイドの早期漸減の効果を推定するために、傾向スコアを用いたIPWにより解析した。

早期漸減:その後入院中に増量した場合でも、入院後2週間以内にステロイド維持量を10%以上減量した場合(ステロイドパルス療法後の減量を除く)と定義

■多施設コホートには153人の適格患者が含まれ、そのうち47人(31%)が死亡した。医療情報コホートには229人の患者が含まれ、そのうち51人(22%)が死亡した。早期漸減を行った患者は、行わなかった患者よりも予後が良い傾向があった(多施設コホートおよび医療情報コホートにおいて、それぞれ未調整ハザード比[95%信頼区間]0.41 [0.22-0.76] および 0.65 [0.36-1.18] )。IPW後、早期漸減群は非早期漸減群よりも予後が良好であった(多施設コホートおよび医療情報コホートにおいて、それぞれIPW調整後ハザード比[95%信頼区間]0.37[0.14-0.99],0.27[0.094-0.83])。






by otowelt | 2022-11-15 00:14 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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