肺MAC症における放射線学的PPFEは予後不良因子


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浜松医科大学からの報告です。昨年大阪刀根山医療センターからも報告がありましたが(ERJ Open Res. 2021 Feb 1;7(1):00765-2020.)、有病率に差があります。どういう集団を診ているかなどで数字は変わってくるでしょう。いずれにしてもPPFEが予後不良因子であることには変わりありません。




Aono Y, et al. Prognostic significance of radiological pleuroparenchymal fibroelastosis in Mycobacterium avium complex lung disease: a multicentre retrospective cohort study. Thorax. 2022 Nov 11;thoraxjnl-2022-219116.

Mycobacterium avium complex(MAC)は、多様な臨床像と予後を有する慢性呼吸器感染症の原因菌である。PPFEは、胸膜線維化と隣接する肺胞腔内線維化および肺胞隔壁の線維化を特徴とする病態で、胸部HRCTで特徴的な所見を有する(PPFEパターン)。肺MAC症におけるPPFEの臨床的意義は不明なままである。

■後ろ向き多施設共同研究において、肺MAC症患者における放射線学的PPFEの有病率、臨床的特徴、転帰との関連について調査した。放射線学的PPFEはHRCT所見に基づいて診断された。予後因子は、Cox比例ハザードモデルおよびFine-Grayモデルを用いて同定した。

■肺MAC症患者850人のうち、101人(11.9%)が放射線学的PPFEを示した。放射線学的PPFEを有する患者は、放射線学的PPFEを有さない患者と比べ、低BMI、低生存率(5年累積生存率、63.1% vs 91.7%、p<0.001)、呼吸器関連の高死亡率(5年累積発生率、31.1% vs 3.6%、p<0.001)といった特徴を有していた。多変量解析では、放射線学的PPFEの存在は、全死亡(調整後HR4.78;95%信頼区間2.87~7.95;p<0.001)、呼吸関連死(調整後HR3.88;95%信頼区間2.14~7.01;p<0.001)の独立因子であった。






by otowelt | 2022-11-13 20:07 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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