急性期病院におけるSARS-CoV-2抗原定量ユニバーサルスクリーニング

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ユニバーサルスクリーニングは今の時代、もはや当たり前になってしまいましたが、それでも院内クラスターが出ている病院もあります。この研究では院内感染はなかったようです。

PCR検査よりも抗原定量のほうが直近の感染を拾ってこないとされていますが、1ヶ月前にコロナ病棟にいた患者さんが次の入院(抗癌剤治療など)で陽性になることも経験しており、直近の感染歴がある場合は、敢えて検査しないという戦略の容認されるでしょう。



Morishima M, et al. Universal admission screening for COVID-19 using quantitative antigen testing and questionnaire screening to prevent nosocomial spread. PLoS One. 2022 Nov 10;17(11):e0277426.

  • 概要
■本研究では、SARS-CoV-2抗原定量検査の診断精度と、COVID-19の院内集団発生を防ぐためのユニバーサルスクリーニングが有効であるかどうかを検討した。

■2020年12月3日~2021年3月20日までに、東京都内の急性期病院に入院し、鼻咽頭スワブを用いたルミパルス抗原定量検査と症状・曝露を評価する簡易アンケートを受けた成人患者全例が対象となった。

■5191人のうち、53人が抗原定量陽性、19人が判定保留、5119人が陰性であった。入院時のCOVID-19診断に対する抗原定量検査の感度および特異度(陽性または判定保留)は、それぞれ95.7%(95%信頼区間85.5-99.5)および99.5%(95%信頼区間99.2-99.7)であった。入院時に無症状陽性の6人が確認された。2人は抗原定量陰性で、後にCOVID-19と診断されたが、2人ともCOVID-19と濃厚接触歴があり診断前に分離されていた。期間中、院内クラスターは発生しなかった。






by otowelt | 2022-11-16 00:59 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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