オクトレオチドはタルクによる胸膜癒着術の効果をアップ

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乳び胸において有効性が示されているオクトレオチドですが、悪性胸水に対する有効性を示したRCTが発表されました。長期的には病勢に押されて・・・という側面はありますが、胸膜癒着術1回あたりの効果を最大限に高めてQOLを改善するには良い選択肢だと思います。

しかしながら、オクトレオチドの保険適応は以下の通りです。

■下記疾患に伴う諸症状の改善
  • 消化管ホルモン産生腫瘍(VIP産生腫瘍、カルチノイド症候群の特徴を示すカルチノイド腫瘍、ガストリン産生腫瘍)下記疾患における成長ホルモン、ソマトメジン-C分泌過剰状態及び諸症状の改善先端巨大症
  • 下垂体性巨人症(外科的処置、他剤による治療で効果が不十分な場合又は施行が困難な場合)
  • 進行・再発癌患者の緩和医療における消化管閉塞に伴う消化器症状の改善
  • 先天性高インスリン血症に伴う低血糖(他剤による治療で効果が不十分な場合)




Ershadi R, et al. Subcutaneous octreotide therapy for malignant pleural effusion after pleurodesis with talc powder: a placebo-controlled, triple-blind, randomized trial. Support Care Cancer . 2022 Nov 11. doi: 10.1007/s00520-022-07440-5.


■悪性胸水(MPE)の治療には胸膜癒着術しか選択肢がない場合が多いが、胸水貯留量が多いと胸膜癒着術の治療効果が低下する可能性がある。本研究では、タルクによる胸膜癒着術を施行したMPE患者を対象に、オクトレオチドの事前投与の治療効果と安全性を検討することを目的とした。

■本研究は、2020年3月から2021年3月にかけて、イランのテヘランでMPE患者におけるオクトレオチドの治療効果および安全性を検討するために計画された、単施設プラセボ対照三重盲検ランダム化試験である。MPE患者をランダムに2治療群に分け、タルクによる胸膜癒着術前後に一方にはオクトレオチド皮下投与(50μg/日を合計3回投与)、もう一方にはプラセボを投与した。患者は1週間後,1か月後,3か月後に胸部X線検査で追跡された。プライマリアウトカムは、胸膜癒着術前後の胸水排出量と入院期間である。治療失敗、再発、胸水分析、副作用について副次アウトカムとした。

■MPE患者46名(オクトレオチド群23名、プラセボ群23名)を対象とした。その結果、オクトレオチド皮下投与により、タルクによる胸膜癒着術の有効性が高まることが示された。プラセボ群に比べ、オクトレオチド群では胸膜癒着術前(p=0.009)、胸膜癒着術後(p=0.002)ともに胸水の発生が有意に減少することが示された。オクトレオチド治療は、入院期間の短縮(胸膜癒着術前p=0.004、胸膜癒着術後p=0.001)および治療失敗の減少(p=0.022)につながった。しかし、オクトレオチドは、1 週間後,1か月後、3か月後の追跡調査において再発を減少させなかった。また、オクトレオチドはプラセボと比較して胸水パラメーターに影響を与えなかった。





by otowelt | 2022-12-16 01:12 | 肺癌・その他腫瘍

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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