COPDにおけるLAMA/LABA配合剤3剤の比較


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COPDに対するLAMA/LABA配合剤である、グリコピロニウム/インダカテロール(ウルティブロ)、ウメクリジニウム/ビランテロール(アノーロ)、チオトロピウム/オロダテロール(スピオルト)を比較したものです。間接的な推定値の比較ではなく、大規模なレセプトデータベースからみたものです。間接比較はなかなかトップジャーナルでアクセプトされませんでしたが、この論文はCHESTアクセプトでよいでしょう。





  • 概要
■COPDに対するLAMA/LABA配合剤は、実際の臨床アウトカムの観点において、差別化できる決定的なエビデンスがまだ得られていない。COPD増悪や心血管イベントのリスクについて、利用可能なLAMA/LABA配合剤の差を調べた。

■レセプトデータベースに基づくこの後ろ向きコホート研究は、2015年1月1日から2019年6月30日の間にグリコピロニウム/インダカテロール(GLY/IND)、ウメクリジニウム/ビランテロール(UMEC/VI)、チオトロピウム/オロダテロール(TIO/OLO)が新しく処方された40歳以上のCOPD患者を対象としている。傾向スコアマッチングとCox回帰モデルを用いて、LAMA/LABA配合剤に関連するCOPD増悪(AE)および心血管イベントのアウトカムを比較した。

■組み入れられた44,498人の患者のうち、15,586人がGLY/IND、20,460人がUMEC/VI、8,452人がTIO/OLOを投与された。UMEC/VIとGLY/INDの1:1マッチング、UMEC/VIとTIO/OLOの2:1マッチング、GLY/INDとTIO/OLOの2:1マッチングにおいて、ベースラインの特性はよくバランスがとれていた。

■重症AEリスクは、UMEC/VIまたはGLY/IND投与群の方がTIO/OLO投与群よりも低かった(UMEC/VI vs. TIO/OLO:100人年当たり17.85 vs. 29.32; ハザード比0.76,95%信頼区間0.68-0.84; GLY/IND vs. TIO/OLO:100人年当たり15.54 vs. 25.53,ハザード比0.77,95%信頼区間0.67-0.88 )。また、GLY/IND使用者はTIO/OLO使用者に比べて心血管系イベントのリスクが低い傾向があったが、追跡期間を短くするとその差はなくなった。







by otowelt | 2022-12-01 00:43 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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