肺MAC症におけるアリケイス投与前後の医療資源利用率
2022年 12月 06日
アリケイスの使用によって肺MAC症の入院を含めた医療資源利用率が低下したという報告です。やはり症例数が多いですね。スクリーニング時点で1542人ですからね・・・。
Aksamit T, et al. Impact of initiation of amikacin liposome inhalation suspension on hospitalizations and other healthcare resource utilization measures: a retrospective cohort study in real-world settings. BMC Pulm Med. 2022 Dec 3;22(1):461.
- 概要
■肺MAC症は、感染頻度の高さもあって、しばしば治療抵抗性となる。吸入アミカシン(ALIS)は、は難治性肺MAC症に対して承認された治療法である。CONVERT試験では、多剤併用レジメンにALISを追加することで、6か月目までの喀痰陰性化率が高くなり、治療終了まで維持されることが示されてた。この研究では、ALISを使用した患者における医療資源利用率の変化を評価した。
■後ろ向きコホート研究で、ALISのレセプト請求があり12ヶ月以上継続して医療保険に加入している18歳以上の肺MAC症を登録した。肺MAC症に特化したICD-10コードがないため、FDA承認ラベルに基づくALIS処方のみを対象とした。
■呼吸器関連の医療資源利用率(入院、入院期間、救急受診、外来受診)をALIS開始前後12か月間で比較した。6か月ごとにアウトカムが報告された。
■331人の肺MAC症患者がALISを受け、医療資源利用率はALIS開始前の6か月間が最も高かった。この期間の26.9%と比較して、ALIS開始後0~6か月および7~12か月における呼吸器関連の入院はそれぞれ19.3%(P < 0.01)および15.4%(P < 0.0001)に減少した。呼吸器疾患関連の平均入院件数/1患者あたりについても、ALIS開始後前基準期間1.0件からALIS開始後0.6件(P < 0.0005)へと減少した。同様のパターンが、全原因による入院件数にも観察された。入院期間についても、同様に有意な短縮がみられた。救急受診は発生数そのものが少なかった。ALIS導入後、全原因および呼吸器疾患関連の外来受診が有意に減少した(いずれもP < 0.01)。
by otowelt
| 2022-12-06 22:24
| 抗酸菌感染症