TB-PRACTECAL試験:MDRTB/RRTBに対するBPaLMレジメン
2022年 12月 25日
2017年に始まったTB-PRACTECAL試験は、リファンピシン耐性結核・フルオロキノロン耐性結核に対し6か月間、経口薬のみを用いたレジメンの有効性と安全性を調べたものです。
今月、WHOのMDRTBガイドラインが改訂されていますが、MDRTB/RRTBに対してBPaLM、pre-XDRTBに対してBPaLを推奨しています。いずれも正式に推奨された形となります。修正バングラディシュレジメンがついこの間のように思われますが、隔世の感があります。ハンドブックではフルオロキノロン感受性にTB-PRACTECALレジメン、耐性(pre-XDRTB)にZenixレジメンが推奨されています。
Nyang'wa B, et al. A 24-Week, All-Oral Regimen for Rifampin-Resistant Tuberculosis. N Engl J Med. 2022 Dec 22;387(25):2331-2343.
- 概要
■リファンピシン耐性結核患者において、現行レジメンより有効性が高く、治療期間が短く、副作用プロファイルが許容できる経口治療レジメンが必要とされている。
■リファンピン耐性結核に対する3種類の24週間経口投与レジメンの有効性と安全性を評価するために、非盲検第2-3相多施設ランダム化対照非劣性試験を実施した。ベラルーシ、南アフリカ、ウズベキスタンの15歳以上のリファンピン耐性肺結核患者が登録された。試験の第 2 段階で、ベダキリン、プレトマニド、リネゾリド、モキシフロキサシン(BPaLM)の 24週間レジメンが、9~20か月の標準ケアレジメンと比較された。主要転帰は、ランダム化後72週時点における不良転帰(死亡,治療失敗,治療中止,追跡不能,結核の再発の複合)とした。非劣性マージンを12%ポイントとした。
■登録は早期に打ち切られた。第2ステージ301例のうち、ITT集団、修正ITT集団、per-protocol集団でそれぞれ145例、128例、90例が評価可能であった。修正ITT解析では、BPaLM群の11%、標準治療群の48%が主要評価項目を発生した(リスク差、-37%ポイント、96.6%信頼区間-53~-22%)。per-protocol解析では、BPaLM群では4%、標準治療群では12%が主要評価項目を発生した(リスク差-9%ポイント、96.6%信頼区間-22~4%)。また、治療歴のある患者群では、グレード3以上の有害事象および重篤な有害事象の発生率は、BPaLM群が標準治療群より低かった(19% vs. 59%)。
by otowelt
| 2022-12-25 00:25
| 抗酸菌感染症