結核の発症予測にIP-10/CCL19が有効

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罹患率が低い場合、IGRAは陽性的中率がものすごく低くなるので注意が必要です。そんな中、これは肺結核に進展するでしょうという予測バイオマーカーがあれば・・・ということでCIDからこの論文。IP-10はいわゆるCXCL10ですね。CXCケモカインファミリーです。




Daniel EA,et al. QuantiFERON supernatant-based host biomarkers predicting progression to active tuberculosis disease among household contacts of tuberculosis patients. Clin Infect Dis. 2022 Dec 30;ciac979.

  • 概要
■ツベルクリン反応検査やIGRAは、陽性率が低いことから、NNTが高くなってしまう側面がある。したがって、活動性結核に移行するリスクの高い患者を特定するため、高い予測精度を持つ新しいバイオマーカーを特定することが重要である。

■2年間の追跡調査中に活動性結核を発症した患者の家庭内濃厚接触者14人と、年齢と性別をマッチさせた非進行結核感染者20人のQuantiFERON用の保存血清を用いた。Luminex Multiplex Arrayキットを用いて、45種類のサイトカイン、ケモカイン、成長因子の拡張パネルで検査した。

■結核の進行と非進行の間には、いくつかのバイオマーカーに有意差がみられた。ドミナンス分析により、15の主要な予測バイオマーカーが同定された。主成分分析により、これらのバイオマーカーは2群を強固に区別することが明らかになった。ROC解析では、IP-10、CCL19、IFN-γ、IL-1ra、CCL3、GM-CSFがAUC≧90となり、有望な予測マーカーとして同定された。IP-10/CCL19 比は、結核の進行予測において最大の感度と特異度を示した。CART分析により、IP-10/CCL19比のカットオフ値0.24で、陽性適中率は100%(95%信頼区間85.8-100)であり、結核の短期進行リスク予測に理想的と言える。






by otowelt | 2023-02-01 00:15 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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