肺胞蛋白症に合併したCOVID-19 34例まとめ


肺胞蛋白症とCOVID-19のまとまった報告です。多施設共同ですが、よくここまで集まったなと思います。とはいえ、多変量解析にいたるほどの集団にはならず、オープンジャーナルにとどまったのかもしれません。それでも貴重な報告でしょう。



Papiris SA, et al. COVID-19 in patients with Pulmonary Alveolar Proteinosis A European multicenter study. ERJ Open Res . 2023 Jan 3;9(1):00199-2022.

  • 概要
■この多施設共同観察後ろ向き研究は、2020年1月24日から2021年8月31日までにヨーロッパ11か国で診断された成人および小児のPAP患者におけるCOVID-19を含む。PAPの診断は、胸部CTに加えて、生検または気管支肺胞洗浄の結果に基づいて行われた。自己免疫性または遺伝性PAPの診断は、GM-CSF自己抗体の増加、CSF2RA、CSF2RB、MARS変異に基づいておこなわれた。PAP患者のうち、RT-PCRまたは臨床的にCOVID-19と診断された場合に適格とされた。

■COVID-19感染と診断されたのはPAP患者255人中34人(13.3%),成人は31人(91.2%),自己免疫性PAPは30人(88.2%)、男性が19人(61.3%)だった。年齢中央値(IQR)47歳(35-56)、PAPの罹病期間中央値57か月(35-115)、喫煙歴61.3%、%FVC78%(IQR 64.3-86)、%DLCO62.9%(IQR 48.8-70.75)、長期酸素療法適用者7人(22.6%)だった。全肺洗浄は27人(87.1%)、吸入GM-CSFは15人(48.4%)に実施された。

■自己免疫性PAPは、COVID-19は発熱(77.4%)、呼吸困難(61.3%)を主症状としていた。全例新型コロナワクチン接種前に感染していた。31人中11人(35.5%)が入院を必要とし、5人(16.1%)がICUに入室した。自宅で治療した軽症の患者は全員生存していた。入院患者のうち、2人が死亡,1人が肺移植を受けた。これら3人の患者は%DLCOが不良だった(p=0.019)。

■性別、年齢、PAP罹病期間、スパイロメトリー結果、LTOT、併存疾患、全肺洗浄歴、吸入GM-CSF治療歴は、入院や転帰に影響を与えなかった。

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by otowelt | 2023-01-08 00:30 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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