COPDはABPAの死亡リスクを上昇


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ISHAMなど、ABPAについてはすでに診断基準が整備されていますので、定性的な診断にならないよう注意が必要です。こういうアレルギー疾患は、総合的な判断が必要な局面があります。

ACOでもCPFEでもさんざん議論されたことですが、気腫との合併というのは、どの疾患も基本的に足し算にすぎない気もしております。GOLDもGINAもACOの概念自体に否定的な雰囲気です。ABPAもCOPDも閉塞性肺疾患という共通点はありますが、COPDでは肺の構造改変もありませんし、ABPAは喫煙との関係性も目立ちませんので、やはり足し算なのかなとは感じます。



Zhang P, et al. The Difference in All-Cause Mortality Between Allergic Bronchopulmonary Aspergillosis with and without Chronic Obstructive Pulmonary Disease. J Asthma Allergy. 2022 Dec 29;15:1861-1875.

■アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)は、喘息、嚢胞性線維症、COPDの経過に合併して発症する。COPDの有無によるABPAの全死因死亡の差は明らかになっていない。この研究では、COPDを合併しているABPAと合併していないABPAの全死亡率の差を検討した。

■2010年1月~2022年3月までに北京大学人民医院でABPAと診断された患者を対象に後ろ向きを実施した。COPDを伴うABPAと伴わないABPAの全死亡率の差を調べ、ABPA患者の死亡の独立リスク因子を調べるためにCox回帰分析を行った。

■61例のABPA患者が登録された。追跡期間は50.38か月(3~143か月)だった。COPD群では7例が死亡し(7/10),非COPD群では4例が死亡した(4/51)。ABPAの1年生存率は、COPDありで60%、COPDなしで97.8%だった。5年生存率は、COPDありで40%、COPDなしで94%だった。

■Cox回帰分析の結果、CRP高値(ハザード比1.017, 95%信頼区間1.004-1.031, P = 0.013)、COPD(ハザード比8.525, 95%信頼区間1.827-39.773, P = 0.006 )がABPAの死亡の独立リスク因子であった。





by otowelt | 2023-01-26 00:47 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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