KL-6は抗線維化薬開始後のIPF病勢進行を予測するか?
2023年 01月 30日
抗線維化薬を開始した後、KL-6の変動が大きいと病勢進行の懸念があるという報告です。非常に検討が少ない領域で、日本におけるピルフェニドンの第3相試験の事後分析で、ベースラインの血清SP-Dがピルフェニドン群における病勢進行を予測することを示した研究がある程度です(Respir Res. 2020;21:316)。
Choi MG, et al. Blood Krebs von den Lungen-6 levels predict treatment response to antifibrotic therapy in patients with idiopathic pulmonary fibrosis. Respir Res. 2022 Dec 9;23(1):334.
- 概要
■抗線維化療法は、IPF患者の病勢進行を遅らせることができる。しかし、抗線維化療法を受けているIPF患者における病勢進行の予後予測バイオマーカーは同定されていない。そこで、抗線維化療法を受けているIPF患者の病勢進行に対する血清KL-6の予後予測の有用性を検証した。
■3つの三次医療機関で抗線維化療法を開始したIPF患者188例の臨床データを後ろ向きに解析した。病勢進行は、抗線維化療法後6か月間のFVC低下≧10%、DLCO低下≧15%、急性増悪、死亡と定義された。
■登録患者の平均年齢は68.9歳、77.7%が男性であり、追跡期間中に43例(22.9%)に病勢進行が発生した(中央値7.6か月、IQR6.2~9.8ヵ月)。ベースラインのKL-6値に関して、病勢進行群と非進行群の間に差はなかったが、ベースラインのKL-6値が高い(500 U/mL以上)患者では、非進行群と比べて病勢進行群のほうがKL-6変動が大きく、年齢とFVCを調整した多変量ロジスティック解析では、1か月間のKL-6の相対変化が大きいことが病勢進行と独立して関連していた(オッズ比1.043;95%信頼区間1.005~1.084)、ROC解析においても、KL-6の1か月間の変化は病勢進行の予測に有用であった(AUC0.707;P<0.012)。
by otowelt
| 2023-01-30 00:20
| びまん性肺疾患