RECITAL研究:膠原病関連間質性肺疾患に対するリツキシマブ vs シクロホスファミド
2023年 01月 14日
リツキシマブはCTD-ILD患者の治療においてシクロホスファミドに優越性は示されませんでしたが、両群ともFVC底上げの効果はあり、QOLも改善しています。副作用の少なさを考慮すると、リツキシマブのほうがよいのではという結論は、ANCA関連血管炎と同じロジックだと思われます。
ヘテロな100例を含んだ解析なので、「全部まとめてリツキサン!」というわけにはいかないでしょうが。
■リツキシマブは膠原病関連間質性肺疾患(CTD-ILD)の治療として使用されるが、検討は少ない。本研究では、重症または進行性のCTD-ILDに対する治療法として、リツキシマブがシクロホスファミドより優れているかどうかを評価した。
■シクロホスファミドと比較したリツキシマブの優越性を評価するために、ランダム化二重盲検ダブルダミー第2b相試験を実施した。強皮症、特発性炎症性筋疾患、混合型CTDに関連する重症または進行性のCTD-ILDを有する18~80歳の患者を、イギリス国内のILDまたはリウマチ性疾患の専門施設11施設で登録し、リツキシマブ(1000mg、0週と2週に静注)またはシクロホスファミド(600mg/m2、4週ごとに静注)の投与に1:1の割合でランダムに振り分けた(間にそれぞれ対応するプラセボを投与)。全身性ステロイドの投与は個々の症例で許容され、投与量は主治医の判断で管理された。24週目までは免疫抑制剤の追加投与は禁止され、24週目以降は担当医の判断で免疫抑制剤の追加処方を可能とした。
■主要評価項目は、ベースライン時と比較した24週目のFVC変化率とし、ベースラインFVCとCTDのフェノタイプで調整した混合効果モデルで分析した。副次的評価項目として、ベースライン時と比較した48週目のFVC変化率、6分間歩行距離、DLCO、医師の評価によるGDAスコア、SGRQスコア、KBILD質問票、EQ-5D質問票、全生存、無増悪生存、治療失敗までの期間、全身性ステロイド使用を含んだ。全評価項目は、薬剤を少なくとも1回投与された修正ITT集団で分析された。
■2014年12月1日~2020年3月31日の間に、145例の参加者をスクリーニングし、そのうち101例をランダム化割り付けした。50例(50%)がシクロホスファミド群、51例(50%)がリツキシマブ群に割り付けられた。シクロホスファミド群の48例(96%)とリツキシマブ群の49例(96%)が修正ITT集団に含まれた。シクロホスファミド群の43例(86%)とリツキシマブ群の42例(82%)は24週間の治療と追跡を完遂した。1回以上の治療を受けた97人の平均年齢は56.6±11.5歳、66人(68%)が女性だった。
■治療24週間の時点で、シクロホスファミド群(未調整の平均増加量99±329mL)とリツキシマブ群(97±234mL) の両群でFVCが改善した。調整混合効果モデルでは、24週間の主要評価項目の差はリツキシマブ群-40 mL(95%信頼区間-153~74;p=0.49 )だった。24週間のKBILD QOLスコアは、シクロホスファミド群で平均 9.4±20.8点、リツキシマブ群で8.8±17.0点改善された。
■副次的評価項目については、48週目のGDAスコアの変化を除いて、治療群間で有意差は確認されなかった。肺機能および呼吸器関連のQOL指標の改善は、両治療群で観察された。48週間の平均FVC変化率は、シクロホスファミド群138±440mL、リツキシマブ群112±249mLだった(差-58 mL[95%信頼区間-178~62],p=0.345 )。48週間の追跡調査において、リツキシマブ群でより全身性ステロイド投与量が12.3%少なかった。試験中の参加者1人あたりの48週間平均総ステロイド曝露量(ヒドロコルチゾン相当量)は、シクロホスファミド群で13291±14657mg、リツキシマブ群で11469±10041mgだった。
■シクロホスファミドを投与された48例中2例(4%)とリツキシマブを投与された49例中3例(6%)が試験中の死亡が確認されたが、いずれも原疾患の合併症が原因であった。全生存期間、無増悪生存期間、治療失敗までの期間は、両群間で有意差はなかった。
■有害事象は、リツキシマブ投与群(445件)のほうがシクロホスファミド投与群(646件)よりも圧倒的に少なかった。両群で最も多く報告された有害事象は、消化管障害と呼吸器障害だった。重篤な有害事象は62件で、33件はシクロホスファミド投与群で、29件はリツキシマブ投与群で発生した。
by otowelt
| 2023-01-14 00:13
| 膠原病