HIV関連肺結核:結核治療開始からどのくらいでARTを開始すべきか?

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現在のガイドラインでは、HIV-結核の治療は、CD4数<50/μLの場合、結核治療開始後2週間以内にARTを開始することが、CD4数≧50/μLの場合、結核治療開始後8週間以内にARTを開始することが推奨されています。

CD4数<50/µLにおいて、結核治療開始後4週間以内にARTを開始したほうが8~12週でARTを開始した場合よりも死亡率が低くなることが示されています(Ann Intern Med. 2015 Jul 7;163(1):32-9.)。早期のART(4週間以内)は1年後の死亡率を減少させることがメタアナリシスで示されています(J Int AIDS Soc 2021; 24:e25772.)。

ただ、IRISはARTを早期に開始した方が起こりやすいことが示されています(J Int AIDS Soc 2021; 24:e25772.)。とはいえ、IRISが致死的になることはまれであり、トータルの利益は早期ARTにあるのではというのが現在のコンセンサスかと思います。

HIVの専門家ではないので断言調には書けませんが、基本的に早めにART開始しましょうという考え方でよさそうです。




  • 概要
■HIV感染症を有する19歳未満の患者において、肺結核治療開始後の適切なARTタイミングを指導するエビデンスはまだ不十分である。肺結核の治療を受けたART未経験のHIV感染症患者のART開始タイミングに関する死亡リスクを評価した。

■2013年から2020年の間にボツワナ、エスワティニ、マラウイ、レソト、タンザニア、ウガンダにおいてHIV関連肺結核に対する治療を受けた0~19歳のART未経験者を抽出した。Kaplan-Meier曲線およびCox比例ハザードモデルを用いて、全死亡を分析した。

■結核治療開始後、ART開始までの間隔が異なる774人のHIV感染者が対象となった。<2週間未満(n = 266)、2週間~2ヶ月(n = 398)、2か月以上(n = 66)、ART未開始(n = 44)に分類された。

■調整後のCox比例ハザードモデルでは、結核治療開始から1年後の死亡率が、結核治療開始から2週間から2か月の間にARTを開始した患者に対して、ARTを開始しなかった患者で増加することが示された(調整後ハザード比2.67; 95%信頼区間1.03- 6.94 )。死亡リスクは、2週間未満群(補正ハザード比1.02、95%信頼区間0.55-1.89)と2週間~2か月の間にARTを開始した群との間で有意差はなかった。

■ARTの医学的利点を考慮すると、結核治療開始後2週間以内にARTを開始するWHOの推奨が支持される。






by otowelt | 2023-01-16 00:29 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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