ランダム化比較試験:原発性自然気胸に対する穿刺吸引 vs 胸腔ドレナージ


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自然気胸患者73例に対して、初期治療としての穿刺吸引と胸腔ドレナージを比較した研究(BMJ 1994;309:1338-1339)によると、穿刺吸引だけで80%が治癒しました。また、初回治療に穿刺吸引を行う場合と胸腔ドレーンを挿入する場合を比較した別の研究(Eur Respir J 2017;49:1601296)においても、穿刺吸引群では初回穿刺で半数が治癒し、2回目の穿刺を受けた人でも半数が治癒しています。

過去、究極の保守的治療ともいえる「胸腔ドレナージはおろか穿刺脱気もしない」という選択肢を、検討したRCTがあります(N Engl J Med 2020;382:405-415)。8週間以内の肺の再拡張は、介入治療群131例中129例(98.5%)、保存治療群125例中118例(94.4%)で得られており(リスク差-4.1%ポイント、95%信頼区間-8.6~0.5%ポイント、P = 0.02)。非劣性マージンの範囲内であったことは意外でした。

  • 概要
■原発性自然気胸の初回エピソードの管理は、依然として議論の余地がある。

■この研究では、原発性自然気胸の患者において、治療の第1選択としての穿刺吸引を胸腔ドレーンによるドレナージを比較し、肺の拡張のアウトカムが劣らないかどうかを調べたものである。

■前向きオープンラベルランダム化非劣性試験。2009年から2015年にフランスの31病院で登録された原発性自然気胸(ただし胸壁から肺が完全に剥離されたものと定義)の18~50歳の成人に、第1選択として単純穿刺吸引(n=200)または胸腔ドレーンによるドレナージ(n=202)が適用された。主要アウトカムは、処置後24時間の肺の拡張とした。副次的アウトカムは、治療に対する忍容性、有害事象の発生、1年以内の気胸の再発とされた。

■治療失敗率は穿刺吸引群29%、胸腔チューブドレナージ群18%(失敗率の差:0.113、0.026-0.200)だった。穿刺吸引群では全体的に疼痛が少なく(平均差-1.4、-1.89~-0.91))、呼吸が制限する疼痛が少なく(率差-0.18、-0.27~-0.09))、デバイスの屈曲が少なかった(率差-0.05、-0.09~-0.01)。

■気胸の再発は、胸腔ドレナージ群27%に対し、穿刺吸引群20%だった(率差-0.07 、-0.16~0.02)





by otowelt | 2023-02-20 00:17 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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