LAMの進行・予後予測因子
2023年 03月 08日
LAMについてはそもそも研究が少ないため、こういった報告は貴重なデータになりますね。
Xu W, et al. Determinants of Progression and Mortality in Lymphangioleiomyomatosis. CHEST, S0012-3692(23)00272-6.
■リンパ脈管筋腫症(LAM)は進行性のびまん性肺疾患であり、10年後の生存率は約85%である。シロリムス療法とバイオマーカーとしての血管内皮増殖因子-D(VEGF-D)導入後の疾患進行と死亡率の決定要因は、十分に定義されていない。VEGF-Dやシロリムス療法を含むどの因子が、LAM患者の疾患進行や生存予後に影響を与えるかどうか調べた。
■中国Peking Union Medical College Hospitalから、進行データセットと生存データセットにそれぞれ282人と574人の患者が含まれた。FEV1の低下率を計算するために混合効果モデルを使用し、FEV1の低下に影響を与える変数を特定するために一般化線形モデルを使用した。Cox比例ハザードモデルを用いて、LAM患者における臨床変数と死亡または肺移植の転帰との関連を調べた。
■VEGF-D値およびシロリムス治療は、FEV1変化および生存予後と関連していた。ベースラインでVEGF-D < 800 pg/mLの患者と比較して、VEGF-D ≥ 800 pg/mLの患者はFEV1がすみやかに減少した[-38.86(95%信頼区間-73.90, -3.82)mL/year, P=0.031]。VEGF-D が 2000 pg/mL 以上と 2000 pg/mL 未満の患者の 8 年累積生存率は,それぞれ 82.9%と 95.1%だった(P=0.014)。一般化線形回帰モデルにおいても、シロリムスを投与した患者では、シロリムスを投与しなかった患者と比較して、FEV1 の低下を 1 年あたり 65.56(95%信頼区間29.06, 102.06)mL 遅らせることが示された(P<0.001)。
図. Kaplan-Meier曲線(文献より引用)

■シロリムス治療後の8年間の死亡リスクは85.1%減少した(ハザード比0.149、95%CI:0.075、0.299)。ベースラインの %FEV1<70%またはSGRQ症状ドメイン50以上の患者は、生存率が悪化する可能性が高いと予測された。
by otowelt
| 2023-03-08 00:31
| びまん性肺疾患