軽症喘息に対する吸入抗TSLP抗体エクレラリマブ

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テゼペルマブが発売されてまだ日は浅いですが、使いどころについては色々な議論があります。個人的にはセカンドライン的な位置づけで使う印象を持っていますが、OCS減量効果などのエビデンスが揃えば、最初の生物学的製剤として使用することも検討したいですね。

さて、喘息診療医にはもう有名な話題ですが、吸入抗TSLP抗体の話です。どこに掲載されるのかなと思っていたら、ERJでした。





■TSLPはアレルギー性の炎症反応を促進する重要な上流制御因子である。

■ヒトTSLPに対する吸入中和抗体フラグメントであるエクレラリマブの有効性と安全性を軽度のアトピー性喘息患者を対象に評価した。

■カナダおよびドイツの10施設で実施された12週間のランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間多施設共同試験である。18~60歳の安定した軽度のアトピー性喘息患者を対象に、1日1回4mgのエクレラリマブ吸入投与群とプラセボ投与群にランダムに割り付けた。主要評価項目は、84日目のAUC3-7hおよび最大減少率(%)で測定した遅発型喘息反応(LAR)における1秒量変化、およびエクレリマブの安全性とした。早期喘息反応(EAR)、喀痰好酸球、FeNOを探索的エンドポイントとした。

■28人の被験者が、エクレラリマブ(15人)またはプラセボ(13人)にランダムに割り付けられた。84日目に、エクレラリマブは、LAR AUC3-7hを64%(p=0.008)、LAR%を48%(p=0.029)減少させた。また、アレルゲン誘発喀痰好酸球はチャレンジ後7時間で64%(p=0.011)、24時間で52%(p=0.047)減少した。エクレリマブはEARのAUC0-2h(p=0.097)およびEAR%(p=0.105)を統計学的に有意ではないものの、数値的に減少させた。FeNO値は、アレルゲン曝露後24時間(43日目および85日目)を除き、試験期間中ベースラインから有意に減少した(p<0.05)。全体として、エクレラリマブは安全であり、忍容性も良好であった。





by otowelt | 2023-03-10 00:15 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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