CPA合併NTMは、なかなかタチが悪い


天理よろづ相談所病院からの報告です。CPA合併NTMと空洞性NTMと非空洞性NTMを比較した面白い論文です。

やはりCPAは悪さをするんだろう、という結果になっています。この研究で面白いのはextrapleural fatに注目しているところです。





  • 概要
■慢性肺アスペルギルス症(CPA)は、肺非結核性抗酸菌症(NTM-PD)の合併症として重要である。しかし、CPAとNTM-PDはともに慢性空洞性疾患としてみられることから、診断・鑑別は困難である。

■2009年1月から2018年3月までにNTM-PDと新たに診断された患者を後ろ向きに検討し、2021年5月まで追跡された。臨床的および放射線学的特徴を評価し、CPAを有する患者を同定した。

■合計611名の患者がNTM-PDと診断された。そのうち、CPA合併NTM-PD38人(6.2%)、空洞NTM-OD102人(17%)、非空洞NTM-PD471人(77%)という内訳だった。CPA合併NTM-PD群の5年生存率(42.8%;95%信頼区間:28.7%-64.0%)は、CPAを合併しない空洞NTM-PD群(74.4%;95%信頼区間:65.4%-84.6%)より低かった。
CPA合併NTMは、なかなかタチが悪い_e0156318_00314286.png
(文献より引用)

■多変量解析の結果、真菌球と隣接するextrapleural fatを有する空洞がCPA合併NTM-PDの有意な予測因子であることが判明した。






by otowelt | 2023-03-23 00:16 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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