特発性多中心性キャッスルマン病の肺病変

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多中心性キャッスルマン病のうち、HHV8型への感染がない原因不明のものが特発性多中心性キャッスルマン病としています。肺病変についての報告です。医師になってから1例しか診たことがないので、場末の呼吸器科医としては非常に勉強になります。



Zhou J, et al. The evolution of pulmonary involvement in idiopathic multicentric Castleman disease-not otherwise specified: From nodules to cysts or consolidation. Chest. 2023 Mar 22;S0012-3692(23)00439-7.

  • 概要
■多中心性キャッスルマン病(MCD)に関連する肺症状に関するこれまでの研究は、コホート数が少なく、MCD共同ネットワークによるMCDの分類基準に従っていないことが指摘されていた。特発性MCD(iMCD-NOS)の肺症状は、これまで報告されていない。

■肺病変を有するiMCD-NOSと診断された患者を登録した。ベースラインの胸部CTデータを利用した。さらにこれを異なるサブグループに分けて比較した。

■162例のiMCD-NOS患者のうち、肺病変を有する58例(35.8%)が確認された。肺病変は、結節(96.6%)、嚢胞(65.5%)、コンソリデーション(22.4%)、間質肥厚(50.0~87.9%)、すりガラス陰影(55.2%)だった。患者(n=58)はさらに、結節(n=15)、嚢胞(n=33)、コンソリデーション(n=10)のサブグループに分類された。

■コンソリデーション(中央値:67か月)および嚢胞(中央値:23か月)のサブグループに該当した患者は、結節のサブグループの患者(中央値:12か月)よりもベースラインCT検査前の症状期間が長かった(P=0.016)。追跡調査中、無治療の患者2例で肺病変の結節から嚢胞への進展が観察された。治療後、嚢胞を除く肺病変は、ほとんどの患者で改善した。また、結節や嚢胞からコンソリデーションへと進展した患者が2例いた。

■iMCD-NOSでは肺病変はまれではない。胸部CT検査は、肺病変を同定するために非常に重要と言える。肺病変は、結節から嚢胞、コンソリデーションへと進展する独特のパターンを示した。治療後に肺病変は軽快する可能性がある。





by otowelt | 2023-04-03 00:02 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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