小児結核の後遺症
2023年 04月 07日
当院のような結核病棟がある病院では、高齢者の粟粒結核を比較的多く経験しますが、 髄膜炎は今でもそれなりの患者さんが亡くなり、生存しても中枢神経系に後遺症を残すことがあります。
Lancet Infectious Diseaseから、小児結核の後遺症についてのシステマティックレビューが出ていました。
Igbokwe V, et al. Post-tuberculosis sequelae in children and adolescents: a systematic review. Lancet Infect Dis. 2023 Apr;23(4):e138-e150.
- 概要
■2020年には、1億5,500万人の人々が結核に罹患し回復したと推定されている。このうち、かなりの割合で結核後遺症が発生していることは、成人集団で示されたとおりである。
■このシステマティックレビューの目的は、小児および青年における結核後遺症のスペクトラムと有病率を明らかにすることである。
■小児期に発症した結核の治療後の転帰に関する文献について、開設から2022年2月7日まで、4つのデータベースにおいてシステマティックレビューをおこなった。同定された4613件の文献のうち、71件の研究がこのシステマティックレビューに含まれた。
■脊髄結核や結核性髄膜炎など、比較的まれな結核を呈するコホートに関する研究が多く含まれていたが、小児期の平均的な結核スペクトルを有するコホートにおいて、長期的な後遺症を評価した研究はなかった。記述的分析において、確定(47%)または臨床推定(53%)の診断における結核後1か月から36年の小児患者3529人の長期転帰が含まれた。
■結果、かなりの割合の小児において、肺結核後の放射線学的後遺症から、筋骨格系および皮膚結核の肉眼的後遺症、結核性髄膜炎後の身体的・心理社会的障害まで、幅広い範囲の結核後遺症が確認された。
by otowelt
| 2023-04-07 00:16
| 抗酸菌感染症