IPDネットワークメタアナリシス:LTBI治療3HP vs 4R


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3HPは「12dose/12週間で駆け抜ける」という表現がまさにぴったりのレジメンですが、イソニアジドが含まれるのでやはり有害事象がそこそこ多くなるという印象があります。

反面、RFP単剤だと少し期間が長くなることと毎日内服が必要ということで、完遂率が損なわれます。

今回の研究では、3HPは4Rよりも治療完了率を高めるものの、イソニアジドの存在ゆえか、有害事象のリスクが高いという結果になっています。

もはやINH単剤レジメンを使うことが減っていますが、保健所とも情報共有しながらレジメン選択をおこなっております。

■参考記事:



Winters N, et al. Completion, safety, and efficacy of tuberculosis preventive treatment regimens containing rifampicin or rifapentine: an individual patient data network meta-analysis. Lancet Respir Med. 2023 Mar 23;S2213-2600(23)00096-6.

  • 概要
■LTBI治療は、現在リファペンチン+イソニアジドの週1回3か月(3HP)とリファンピシン1日1回4か月(4R)が推奨されている。これらのレジメンは直接比較されていないため、われわれはIPDによるネットワークメタアナリシスを用いて、3HPと4Rの完遂・安全性・有効性を比較した。

■2000年1月1日~2019年3月1日に発表されたRCTをPubMedで検索し、IPDによるネットワークメタアナリシスをおこなった。適格な研究は、3HPまたは4Rを6H or 9Hと比較し、治療完遂・有害事象・結核の発生を調べた。対象研究の非識別化IPDは研究責任者から提供された。ネットワークメタアナリシスにより、間接的な調整リスク比(aRR)およびリスク差(aRD)とその95%信頼区間を算出した。

■6試験において、14か国から1万7572人の参加者を対象とした。ネットワークメタアナリシスでは、治療完遂率は3HPの方が4Rの方より高かった(aRR 1.06 [95%信頼区間1.02-1.10]; aRD 0.05 [95%信頼区間0.02-0.07] )。

■治療中止にいたる治療関連有害事象については、すべての重篤度の有害事象(aRR 2.86 [95%信頼区間2.12-4.21]; aRD 0.03 [95%信頼区間0.02-0.05] )およびグレード3~4の有害事象(aRR 3.46 [95%信頼区間2.09-6.17]; aRD 0.02 [95%信頼区間0.01-0.03] )については、4Rより3HPでリスクが高かった。3HPによる同様のリスク増加は、他の有害事象定義でも観察され、年齢層で一貫していた。3HPと4Rの間で結核の発生率に差は観察されなかった。





by otowelt | 2023-04-12 00:16 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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