カルバペネムによる肝障害の頻度

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カルバペネムの肝障害を比較した論文はそう多くないので、参考になりました。当院では、Mycobacterium abscessusでIPM/CSがよく処方されていましたが、カルバペネムが不足しており悩ましいところです。




Asai Y, et al. Risk evaluation of carbapenem-induced liver injury based on machine learning analysis. J Infect Chemother . 2023 Mar 11;S1341-321X(23)00067-3.

  • 概要
■カルバペネムによる肝障害に関する情報は限られており、メロペネム(MEPM)およびドリペネム(DRPM)による肝障害の発生率は依然として不明である。MEPMとDRPMの肝障害発生率を比較し、カルバペネムによる肝障害の予測に利用できるフローチャートを構築した。

■MEPM(n=310)またはDRPM(n=320)で治療した患者を調査し、主要アウトカムとして肝障害を確認した。DTモデルの構築には、CHAIDアルゴリズムを使用した。従属変数をカルバペネム系抗菌薬(MEPMまたはDRPM)による肝障害とし、ALT、アルブミンビリルビン(ALBI)スコア、アセトアミノフェン併用などの要因を説明変数として使用した。

■肝障害の発生率は、MEPM群で22.9%(71/310)、DRPM群で17.5%(56/320)であり、有意差は観察されなかった(95%信頼区間:0.710-1.017)。MEPMのDTモデルは構築できなかったが、DT解析により、ALT>22 IU/L、ALBIスコア>-1.87の患者におけるDRPM導入は、ハイリスクである可能性が示された。

■肝障害の発症リスクは、MEPM群とDRPM群で有意差はなかった。ALTやALBIスコアは臨床現場で評価されるため、当該DTモデルは投与前に肝障害を評価する際に有用かもしれない。





by otowelt | 2023-04-17 00:40 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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