肺MAC症に対するストレプトマイシン vs アミカシン
2023年 04月 09日
韓国アサンメディカルセンターの報告です。この分野は韓国が主導しています。ストレプトマイシンはそれなりの量を筋注しなければならないので、個人的にはあまり使用しなくなりましたが、アミカシンと後ろ向きに比較したデータが出ました。効果については差はなさそうです。聴器毒性が少し気になりますね。
Kim SM, et al. Comparison of Treatment Outcomes of Cavitary Mycobacterium avium Complex Pulmonary Disease with Streptomycin or Amikacin Use. Microbiol Spectr . 2023 Apr 6;e0474122.
- 概要
■空洞型における肺MAC症の特定のアミノグリコシドの比較治療成績は解明されていない。治療レジメンにストレプトマイシンまたはアミカシンを含めた場合の治療成績について検討した。
■2006年から2020年にかけて、韓国アサンメディカルセンターでガイドラインに基づく治療(マクロライド、エタンブトール、リファンピンの3剤併用経口抗生物質レジメンにアミノグリコシドの注射薬)を1年以上受けた空洞性MAC-PD患者168人を後ろ向きに登録した。ストレプトマイシンまたはアミカシン使用患者の培養変換達成率を比較した。
■168例のうち、ストレプトマイシンが127例(75.6%)、アミカシンが41例(24.4%)を使用していた(治療期間の中央値[IQR]はそれぞれ17.6[14.2~25.2]週と17.0[14.0~19.4]週だった)。治療終了時の培養陰性化率は75.6%(127/168)で、ストレプトマイシン投与群で74.8%、アミカシン投与群78.0%と有意差はなかった(P=0.674、調整オッズ比1.086;95%信頼区間0.425〜2.777)。
■有害事象の発生率は、両群で同程度であった(冒頭に書いたように数値上は聴器毒性に差はありそうだが)。
by otowelt
| 2023-04-09 11:48
| 抗酸菌感染症