線維性過敏性肺炎に対するピルフェニドン

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コロナ禍のせいで、主要評価項目における差の検出にパワー不足になりました。PFSにはいくばくかの効果はありそうに思われますが、ニンテニダブ1強の現状に一石を投じる結果とは言えないようです。




Fernández Pérez ER, et al. Pirfenidone in fibrotic hypersensitivity pneumonitis: a double-blind, randomised clinical trial of efficacy and safety. Thorax. 2023 Apr 7;thorax-2022-219795.

  • 概要
■線維性過敏性肺炎(FHP)は、不可逆的な肺疾患である。われわれは、ピルフェニドンの安全性と病勢進行に対する効果を評価することを目的とした。

■FHPを発症し、病勢が進行している成人を対象に、単施設ランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。患者は、2:1の割合で、52週間経口ピルフェニドン(2403mg/日)またはプラセボのいずれかを投与するように割り付けられた。

■主要評価項目は、%FVCの平均絶対値の変化とした。副次的評価項目は、PFS、FVC・DLCOの相対的低下率10%以上、急性の呼吸器系増悪、6分間歩行距離の50m以上減少、免疫抑制剤の増加または導入、死亡、%FVCおよび%DLCOの平均変化、入院、肺線維化の放射線学的進行、安全性とした。

■40例の患者をランダム化した後、COVID-19のパンデミックにより登録が中断された。52週目の%FVCに有意な群間差はなかった(平均差-0.76%、95%信頼区間-6.34~4.82)。ピルフェニドン群では、26週目の調整後%FVCの低下率が低く、PFSが改善した(ハザード比0.26, 95%信頼区間0.12~0.60)。その他の副次的評価項目において、有意な群間差は観察されなかった。死亡はピルフェニドン群で発生せず、プラセボ群では1件発生した。治療上問題となる重篤な有害事象はなかった。





by otowelt | 2023-05-05 00:29 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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