FITNESS研究:IPFにおける呼吸リハビリテーションの長期効果

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持久力の改善にはつながりそうですが、今回の研究では6MWDには特に有意差はみられていません。コクランレビューでは、IPF全般に対して6MWDの改善効果が記載されています(Cochrane Database Syst Rev. 2021 Feb 1;2(2):CD006322.)。




Kataoka K, et al. Long-term effect of pulmonary rehabilitation in idiopathic pulmonary fibrosis: a randomised controlled trial. Thorax. 2023 Apr 3;thorax-2022-219792.

  • 概要
■特発性肺線維症(IPF)は、呼吸困難の悪化と運動耐容能の低下を特徴とする疾患であるが、進行を抑えることが期待される標準的な抗線維化薬で治療されたIPF患者において、長期の肺リハビリテーションは運動耐容能を改善するかどうかを検証した。

■このオープンラベルのランダム化比較試験は、19施設で実施された。ニンテダニブを投与された安定した患者を呼吸器リハビリテーション群とコントロール群にランダムに割り付けた(1:1)。呼吸器リハビリテーション群では、週2回のモニター付き運動トレーニングを12週間行う初期リハビリテーションを行い、その後、自宅でのリハビリテーションプログラムを40週間実施した。コントロール群では、呼吸器リハビリテーションを行わず、通常のケアのみを行いました。両群ともニンテダニブの投与は継続された。主要評価項目および副次評価項目は、52週目における6分間歩行距離(6MWD)の変化と持久時間(エルゴメトリー使用)の変化であった。

■88例の患者が呼吸器リハビリテーション群(n=45)とコントロール群(n=43)にランダムに割り付けられた。6MWDの変化は、呼吸器リハビリテーション群で-33m(95%信頼区間-65 to -1)、コントロール群で-53m(95%信頼区間-86 to -21)であり、統計的に有意差はなかった(平均差21m [95%信頼区間-25 to 66]、p=0.38)。持久時間の変化は、呼吸器リハビリテーション(64秒 [95%信頼区間-42.3~171])群がコントロール(-123秒 [95%信頼区間-232~-13])群より有意に優れていた(平均差187秒 [95%信頼区間34~153], p=0.019)。





by otowelt | 2023-04-22 00:47 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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