SLIM研究:胸腔感染症に対する短期抗菌薬 vs 長期抗菌薬

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膿胸などの胸腔内感染症では、長期間の抗菌薬治療が必要ですが、長期にしてもそう変わりないという研究です。

ところで、日本呼吸器外科学会から膿胸ガイドラインが出ていますので、参照ください。




Hassan M, et al. The Short versus Long Antibiotic Course for Pleural Infection Management (SLIM) randomised controlled open-label trial. ERJ Open Res. 2023 Apr 11;9(2):00635-2022.

  • 概要
■エキスパートオピニオンレベルであるが、成人の胸腔感染症に対する抗菌薬は、通常最低4週間であることが推奨されている。この研究では、抗菌薬の投与期間が短いと、標準的な長期間投与期間よりも治療失敗が多くなるかどうかを評価した。

■非盲検ランダム化比較試験において、入院後14日以内に内科的治療を受け安定した胸腔感染症の成人患者を、長期抗菌薬(合計14~21日)または短期抗菌薬(合計28~42日)のいずれかにランダムに割り付けた。ベースラインのRAPIDスコアが4以上のハイリスク患者は除外された。

■主要評価項目は、入院後6週目までの治療失敗の発生とした。副次的評価項目は、抗菌薬の総治療期間、入院後6週間以内に通常のADLに回復した患者の割合、退院から通常のADLに回復するまでの時間、抗菌薬関連の副作用の発生率とした。

■2020年9月から2021年10月にかけて、50例の患者(平均年齢46±13.7歳、男性35名[70%])を登録し、短期投与群(n=25)と長期投与群(n=25)にランダムに割り当て、各群の24例の患者のアウトカムデータを入手しました。

■治療失敗は、短期投与群で4例(16.7%)、長期投与群で3例(12.5%)に発生した。ITT解析では長期投与による治療失敗のオッズ比は0.714(95%信頼区間0.142-3.600、p=0.683)であった。抗菌薬の治療期間の中央値(IQR)は、短期投与群が20.5日(18~22.5日)だったのに対し、長期投与群は34.5日(32~38日)だった(p<0.001)。その他のアウトカムに、統計的に有意差はなかった。






by otowelt | 2023-05-15 00:35 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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