出版のお知らせ:ポケット呼吸器診療2023


毎年アップデート出版している「ポケット呼吸器診療2023」が2023年4月30日に発売されます。予言していた通り、ガイドラインの更新頻度が高くなっていて、マジ勘弁してくれという水準になってきました。

今回反映しているガイドラインは、『クライオ生検指針─安全にクライオ生検を行うために─第1.1 版』、『小児呼吸器感染症診療ガイドライン2022』、『抗菌薬 TDM 臨床実践 ガイドライン2022』、『日本喘息学会.喘息診療実践ガイドライン2022』、『アレルギー総合診療のための分子標的治療の手引き,2022』、『Global Initiative for Asthma 2022』、『COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2022』、『Global Strategy for Prevention, Diagnosis and Management of COPD, GOLD Reports 2023』、『Idiopathic Pulmonary Fibrosis (an Update) and Progressive Pulmonary Fibrosis in Adults:An Official ATS/ERS/JRS/ALAT Clinical Practice Guideline』、『肺胞蛋白症診療ガイドライン2022』、『過敏性肺炎診療指針2022』、『肺癌診療ガイドライン2022年版』、『2022 ESC/ERS Guidelines for the diagnosis and treatment of pulmonary hypertension』あたりです。

日本呼吸器外科学会の膿胸ガイドライン、ERSの重症市中肺炎ガイドライン、LAMガイドラインは間に合いませんでした。

昨年に引き続き、電子書籍版(PDF版)の無料ダウンロード権が付いています!!好評だったので、しばらく継続します。

2022版と同様、変更があった部分は青いアミをかけて、一目で分かるように工夫をこらしています。
出版のお知らせ:ポケット呼吸器診療2023_e0156318_01090821.png
発売日:2023年4月30日
単行本 : 310ページ
価格 : 2,000円 (税抜)
出版社 : シーニュ
著者 : 倉原 優 (国立病院機構近畿中央呼吸器センター)

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<2022年版→2023年版の主な変更点>
・キーワードと呼吸器疾患にVEXAS症候群を追加
・去痰薬のエビデンスを追加
・喀血と血圧・糖尿病などのリスクについて追記
・BAL回収不良のリスク因子を追記
・EBUS-GSの診断率について追記
・クライオバイオプシー(TBLC)の合併症リスクについて追記
・シングルユースTBLCについて記載
・VINCENTについて追記
・小葉内間質肥厚の記載変更
・一口メモ「コロナ禍における肺機能検査」追加
・一口メモ「肺エコーの日本語総説」追加:日本救急医学会の「救急point–of–care 超音波診療指針(Guidance for Clinical Practice using Emergency and Point–of–Care Ultrasonography)」を紹介
・心不全におけるB-lineのエビデンスを追加
・一口メモ「Light の基準の不一致」追加
・結核性胸膜炎の胸水中総蛋白について記載
・胸水ADA ≧ 40 以上のフローチャートを追加
・胸膜癒着剤を改訂
・アミカシンの血中濃度について追記
・「65 歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種の考え方(2023 年3 月)」を掲載
・TOPIC「新しい肺炎球菌ワクチン」追加(バクニュバンス®)
・COVID-19:オミクロン株以降のニルマトレルビル/リトナビル(パキロビッド®)などのエビデンスを追加
・一口メモ「日本発の抗ウイルス薬」追加(エンシトレルビル[ゾコーバ®])
・FilmArray®と非定型病原微生物について追記
・市中肺炎のICU 入室適否をみるためのIDSA/ATS 基準を追加
・レジオネラスコア追加
・TOPIC「市中肺炎に対する全身性ステロイド」追加(CAPE COD研究)
・アドバンス・ケア・プランニングについて追記
・百日咳については「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2022」を参照
・百日咳の検査法を改訂 ・膿胸の胸腔ドレナージのエビデンスを追記
・肺アスペルギルス症の分類について追記
・イムノテスタ®β-Dグルカンについて追記
・BAL中アスペルギルスガラクトマンナン抗原について追記
・アスペルギルスのPCR
・LAMP法について追記
・イサブコナゾール(クレセンバ®)の用法用量を追加
A. fumigatus特異的IgGについて追記
・クリプトコッカスの病変分布について追加
・PCPのβ-Dグルカンについて追記
・PCPのST合剤減量治療のエビデンスを追加
・ST合剤による高カリウム血症のデータを追加
・一口メモ「ST 合剤の予防効果」追加
・サイトメガロウイルス再活性化例に対するデノシン®について追記
・ノカルジアの保菌/感染について追記
・ノカルジアの感受性について表を追加
・結核菌の排菌量とIGRAについて追記
・LTBIリスクについて、アバタセプトとJAK阻害剤に言及
・抗酸菌感染症にかかわることがある生物学的製剤に薬剤追加
・結核診断における胃液検査のエビデンスと感染症法の注意点を追記
・結核治療時のINH不使用レジメンにRELZ追加
・結核菌の耐性率を改訂
・主な抗結核薬が使用できない場合の薬剤選択の表を改訂
・肺NTM症のBACESスコアを掲載
・MAC抗体のエビデンスを追加
・肺MAC症の治療期間のエビデンスを追加
・役立ちメモ「アミカシンリポソーム吸入用懸濁液(ALIS)の嗄声」追加
・一口メモ「NTM 症と関節リウマチ」追加
・肺M. abscessus症の治療を大幅改訂
・KANEKA DNA Chromatography MABC/erm(41)を紹介
・一口メモ「肺アスペルギルス症と肺MAC症の合併について」追加
・トリプル吸入療法についてエビデンスを追加
・喘息診断時のPGAM2022推奨を追加
・喘息の治療ステップに抗TSLP抗体(テゼペルマブ[テゼスパイア®])、GINA2022推奨を反映
・成人重症喘息に対する生物学的製剤の治療選択の表を掲載
・喘息に対する抗体医薬品を大幅改訂
・オマリズマブの用法用量を見やすく改訂
・一口メモ「レスキューはSABA単独ではなくICS+SABA の時代へ」
・喘息増悪時の全身性ステロイドのエビデンスを追加
COPD:「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2022,第6 版」「GOLD2023」発刊により、全体的に改訂
・TOPIC「在宅ハイフローセラピー」追加
・Zephyr®の国内承認について記載(重症COPDに使用する気管支バルブの適正使用指針.2022.)
・気管支レオプラスティについて記載
・COPD増悪のRome Proposalを紹介
・COPD増悪に対する輸液・低分子ヘパリンについて言及(GOLD2023)
・喘息とCOPD のオーバーラップの概念のPros & Consについて記載
・エアロチャンバープラス静電気防止型について記載変更
・気管支拡張症の増悪について追記
・IPFの有病率について追記
・特発性肺線維症(IPF)診断のフローチャートを改訂(ATS/ERS/JRS/ALATガイドライン2022)
・特発性肺線維症(IPF)の診断基準の表を改訂
・PF-ILDから進行性肺線維症(PPF)に変更、概念の紹介
・DIPについて追記
・ILA(interstitial lung abnormality)について追記
・IPF の胸部HRCT パターンを改訂(ATS/ERS/JRS/ALATガイドライン2022)
・CPFE(combined pulmonary fibrosis and emphysema)について追記
・IPF急性増悪リスクを評価するHALスコアを紹介
・IPF急性増悪の全身性ステロイド漸減についてエビデンスを追加
・抗ARS抗体の表記について改訂
・抗NXP-2抗体、抗HMGCR抗体、抗FHL1抗体のデータなどを追加
・RA-ILDに対するプレドニゾロンについて追記
・慢性ILDに対するMTXの使用について追記
・多発性筋炎/皮膚筋炎の診断基準掲載
・漢方薬による薬剤性肺障害についてデータを紹介
・結節性リンパ組織過形成の文面一部変更
・TAFRO症候群について記載
・免疫不全関連リンパ増殖性疾患について追記
・LAMの腎血管筋脂肪腫について追記
・LAMのVEGF-Dの検査精度について記載
・LAMにおける低用量ピル、ホルモン補充、排卵誘発剤について記載
LAM患者さんの妊娠について記載
・PAPの気管支鏡診断について追記
・GPA/MPA の寛解導入療法におけるステロイドの標準用量レジメンと減量レジメンの表を掲載(EULAR recommendations 2022)
・AAVにおけるリツキシマブについて記載
・アバコパン(タブネオス®)の情報改訂
・EGPAに対するメポリズマブ(ヌーカラ®)について追記
・サルコイドーシスの原因について記載
・眼サルコイドーシスとACEについて記載
・CEPの再発予測因子についてエビデンス追加
・「過敏性肺炎診療指針2022」発刊により過敏性肺炎の記載変更
・hexagonal patternを紹介
・「イムノキャップ特異的IgG鳥」の検査精度を追記
・ABPAについてはアレルギー性疾患と2か所に記載していたが、1か所に集約
・KRAS G12C変異について注意点追記
・TOPIC「細胞診で遺伝子パネル検査」追加 ・肺葉切除と肺区域切除の比較
・TOPIC「周術期化学療法」改訂
・非扁平上皮癌以外におけるMET遺伝子エクソン14 スキッピング変異について追記
・Ⅳ期非小細胞肺癌の概略を改訂
・高齢者におけるオプジーボ®+ヤーボイ®について追記
・トレメリムマブ(イジュド®)を追加
・オシメルチニブによるTAPOについて記載
・頭蓋内転移とロルラチニブ(ローブレナ®)について追記
・セルペルカチニブ(レットヴィモ®)を追加
・NTRK融合遺伝子陽性例の治療について追記
・HER2 陽性非小細胞肺癌に対するトラスツズマブ デルクステカンのFDA承認について記載
・TOPIC「セルプルリマブ、アデブレリマブ」追加
・EGFR-TKIの皮膚障害についてミノサイクリンの代替を記載
・発熱性好中球減少症におけるG-CSFについて追記
・悪性胸膜中皮腫におけるキイトルーダ®、イミフィンジ®について追記
・胸腺腫の外科的切除について記載変更
・胸腺癌に対するキイトルーダ®について追記
・全脳照射後の認知機能低下について追記
・放射線肺炎の分類をNCI CTCAE v5.0に変更
・肺結節における肺癌の頻度の表を掲載
・咳喘息に対するLTRA単独療法について私見を記載
・CRSwNPと好酸球性副鼻腔炎の関係を記載
・リフヌア®の副作用について記載
・在宅酸素療法の費用を改訂
・「非がん性呼吸器疾患におけるオピオイド」の記載変更
・「胸腔ドレナージが必要かどうかを判定するためのフローチャート」を一部変更
・気胸に対する胸膜癒着術について追記
・閉塞性睡眠時無呼吸に対する口腔内装置(OA、スリープスプリント)について追記
・TOPIC「スルチアム」追加
・COPDにおける肺高血圧症について追記
・「肺高血圧症(PH)の分類」を変更(2022 ESC/ERSガイドライン)
・「右心カテーテル結果と各群の対応」に追記
・「特発性、遺伝性、薬剤関連、膠原病関連の肺動脈性肺高血圧症(PAH)の治療選択肢」を改訂(2022 ESC/ERSガイドライン)
・「肺高血圧症(PH)のリスク評価」を改訂(2022 ESC/ERSガイドライン)
・トレプロスト® 吸入液1.74 mg を追加
・CTEPHに対するセレキシパグについて追記
・TOPIC「Xa因子阻害薬中和剤」追加
・「高額療養費制度における毎月の医療費の自己負担額上限額概算」の表を2つ追加

このマニュアルは「できるだけコンパクトかつ有用な安い書籍」を目標にしていますが、限りなく最新の文献に基づいた疾患情報を提供できるよう心がけています。実臨床で使用することを最優先に、不要な贅肉を極限までこそぎ落としているつもりです。

呼吸器を診療する医師のポケットに長く入れていただけるよう、これからも努力致しますので、よろしくお願い申し上げます。「こういった内容の方がよい」「こういった項目を入れて欲しい」などの叱咤激励もお待ちしております。

最後に、シーニュの藤本浩喜様と、臨床に没頭させてくれる全患者さんに心より感謝申し上げます。



by otowelt | 2023-04-19 06:52 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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