EBUSを使った縦隔リンパ節クライオバイオプシー


EBUSを使ってリンパ節にクライオバイオプシーを行うという画期的手法の報告です。気管支鏡医必読かと。

これどうやって1.1mmのクライオプローブを突き刺しているのか分からなかったのですが、論文中に詳細が書かれていました。EBUS-TBNAで刺した穴を、狙い撃ちしてプローブを突っ込むというテクニックです。いやーこれはなかなか大変な技ですね。

ただ、現在使えるツールで実現可能なことなので、さっそく実践される施設が出てくるかもしれません。


Ariza-Prota M, et al. Endobronchial ultrasound-guided transbronchial mediastinal cryobiopsy in the diagnosis of mediastinal lesions: safety, feasibility and diagnostic yield - experience in 50 cases. ERJ Open Res . 2023 Apr 17;9(2):00448-2022.

  • 概要
■EBUS-TBNAは、縦隔および肺門病変の検索において選択される手法である。しかし、生検検体量が不足することで、特定の疾患の診断率が低下し、悪性の可能性が高い場合に再生検や縦隔鏡などの追加検査が必要となることがある。この研究の目的は、1)EBUS-TBNAと同条件(気管支鏡室・中等度鎮静下)で再現実施可能であることを示すこと、2)具体的な手法を説明すること、3)縦隔リンパ節に対する実現性を示すこと、4)診断成績と合併症を分析すること、である。

■2022年1月から8月にかけて、22GのTBNA針と1.1mmのクライオプローブを用いてEBUS-TBNA→EBUS-経気管支縦隔クライオバイオプシー(TMC)をおこなった患者50名の前向き研究である。縦隔病変が1cmを超える患者を登録し、EBUS-TBNAとTMCは同じリンパ節で実施した。

■診断率は、EBUS-TBNAで82%、EBUS-TMCで96%であった。サルコイドーシスにおける診断率は同程度だったが、リンパ腫やリンパ節転移ではTMCがTBNAより高感度であった。検体サイズはEBUS-TBNAよりもEBUS-TMCのほうが約2倍大きかった(p<0.001)。

EBUSを使った縦隔リンパ節クライオバイオプシー_e0156318_01575128.png
. 検体サイズ(文献より引用)

■合併症としての気胸はなく、重大な出血があった症例もなかった。処置中・経過観察中にも合併症はなかった。





by otowelt | 2023-04-27 01:31 | 気管支鏡

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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